ひこばえ通信
2005年10月号(第231号)

遺伝子組み換え作物実験圃場見学記
GMごはんなんかいらない!

「GMOフリーゾーン東北ネットワーク」の呼びかけで遺伝子組み換え(以下GM)作物の屋外実験を行っている東北大学の農場見学会に参加してきました。




▲(上)隔離圃場入口の看板。(中)鉄欠乏耐性イネ。(下)GMOフリーゾーン宣言の看板とおきたま興農舎の小林さん(左)と安部さん
「隔離圃場」とは?

「GM作物の実験圃場が隔離されているのは、種子の流出や花粉の飛散による遺伝子汚染を防止するためである」とお思いでしたか? ブーッ、です。正解は「実験に反対する人からGM作物を守るため」。圃場の入り口には金網のフェンスがあって人間は勝手に出入りできません。しかし、見学の間にも花粉をくっつけているに違いない蝶々はひらひらと飛んでいきますし、もちろん鳥や虫も自由に出入りしているに違いありません。

狙われるごはんとみそ汁

 ここで実験栽培されているのはイネと大豆です。まさに日本人の食の基本をなす2作物の実験が行われているわけです。
 イネは「鉄欠乏耐性イネ」というものが栽培されていました。アルカリ土壌でイネを栽培すると鉄が欠乏します。そこで、アルカリ土壌でも鉄を摂取することができるムギの遺伝子をイネに組み込もうというわけです。
 ところで、降雨量が多く土壌のアルカリ化のない日本ではこのイネは必要ありません。「世界の食糧問題の解決策だ」というおなじみの主張で研究を進め、開発のあかつきには欧米の多国籍バイオテクノロジー企業をとおしてアルカリ土壌の多い途上国に技術を売りつけようということのようです。いずれにせよ、存亡の危機にある日本の農業のためには何の役にもたたない研究に旧国立大学(いまは独立行政法人)がうつつを抜かしているわけです。

GMに反対の声を

 このような専門的な技術についてシロウトはその是非を判断できないのではないか、という意見を聞くことがあります。しかしはっきりしているのは、GM作物を何世代にもわたって食べつづけたときにどのような影響がでるのかはまだ検証できていないということです。安全性について検証できていないものを性急に商品化(金儲け)しようとするような人にロクな人がいないことを理解するのに特別な知識は必要ありません。特許のかかった種子が生産者のためでも消費者のためでもないことは明らかです。
 なお今月から8面でGM作物に反対する産地からの声をお伝えするリレー連載を始めます。トップバッターは「おきたま興農舎」の小林亮さんにお願いしました。(編集部・下村)