2/4 よつ葉連続討論会「よつ葉有機」
講演「一袋の虫食いなっぱから何が話せるか?」 講師 橋本昭(アグロス胡麻郷) よつ葉の配送センターの職員を中心にすすめられてきたワーキングチームの連続討論会も、今回で8回目となりました。誰かに設定してもらって受身で参加するだけではなく、また立派な結論を出すことが目的でもなく、職員自身が計画・立案し話し合うことで、お互いの見識を深め合おうという新しい試みでした。昨年の春から「クレーム」「賞味期限」「トレーサビリティ」「よつ葉有機」と各テーマごとに講演会・討論会を重ねてきました。今回は以下に要旨を掲載した橋本昭さんのお話のあと、野菜をテーブルに置いてパネラー11名がパネルディスカッションをし、それを約100名の参加者が囲んで話し合いました。最後の寺本さん(司会・能勢産直)のまとめの言葉が心に残った討論会でした。「よつ葉有機」基準も「生産者憲章」も、生産者をしばるためのものだと思っている人もいるんじゃないか! そうじゃないんだ! どちらも生産と消費の中間で働いている僕たち自身が考え実践していくものなんだ。毎日自分たちが配達しているもの、流通させているものが何なのか、もっともっと自覚しなくちゃいけない!……橋本さんの静かなお話と熱い討論会のコントラストが印象的な集まりでした。 |
僕は京都市内で生まれ育ちましたが、29歳のときに船井郡日吉町という所に移り住みました。30年ほど前のことです。有機農業を興したいとか大それたことを考えていたわけではありません。街中でいたずらや悪い事も一杯したあげく、いっぺん生活の基本をゼロからやってみようやないかとふと思い立ったのです。 山の中の谷間に土地を求めて、水を引き家を建て、田んぼや畑を作ったり、鶏を飼ったり、どじょうを集めてきて放してみたりし始めたのです。 当初はどないして生活していくかなど深く考えもせず、自給自足のような生活でした。やがて米や野菜を作ってそれを食べてもらうようになり、村の方々との付き合いも広がっていきました。そして地域とのつながりの中で耕して、種をまいて、作物を作ることを村の人と一緒に始めました。18年ほど前からそういうことが始まり、今も名前になっているアグロス胡麻郷を作り、今日に至っています。 作るということ
自給から始めましたから、よつ葉と関わらしていただいたのは途中からです。しかし「よつ葉憲章」や「よつ葉生産者憲章」には僕の感覚と近しいことが綴られていると思っています。「私達は『食べ物』は『生き物』という考えに立ち」というあたりは「そやな」と思います。 農村の実情 田舎には、ご存知のとおり若い人が少ない。戦後の農政の歴史で言えば、じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんの「三ちゃん農業」という時代がありました。そのうちかあちゃんはパートに出て、じいちゃん、ばあちゃんは年を取って70過ぎから80になっています。うちの村でも次々と葬式があります。それで田んぼや畑は今後どうなっていくのや、というのが不安な状況です。 何が話せるか? 会員さんにお届けしたものに虫食いのなっぱがあったとします。そこで「あの生産者のばかは」とこうくるのか、「よっぽどうまいから虫も食うたんかい」と考えるのか。今日の話は、こっちが◯、こっちが×だけじゃないふくらみみたいなものも含めて、生産者、配送員、会員さんの間でいろんな話をするためのヒントになればと思います。 |