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山名酒造 (兵庫県丹波市) その3

うれしい時、悲しい時、普通の時、いつも伴にありたい酒!
山名酒造 兵庫県丹波市



酒は嗜好品である。嗜好は百人百様、世界中の嗜好が楽しめる酒の世界にあっても、こと日本酒となると一家言を持つ人が多い。広域流通が未整備の時代は、酒は地元産。食べものも郷土食がふつうだった。フード(食)は風土そのものであり、味覚は食べ慣れた味をおいしいと感じる。ゆえに食も酒もその違いは優劣ではない、そう思ってきた。酒は嗜むが特にこだわりもなく、専門知識も一家言も持たない私が、奥丹波の蔵元を訪ねることとなった。東北育ちにとって丹波は黒豆?程度の認識、地図も指せない遠い存在。だが訪れてみれば奥丹波はどこか懐かしく、いつか誰かとの記憶をなぞるような感覚を覚えたのはなぜだろうか。そう、ここには日本の原風景、ふるさとが存在していた。

山名酒造はこの地で創業300年、なんと江戸時代から続く老舗蔵元である。

ちょうど酒造りのピーク、ジーンズに半天姿、キャップの若い蔵人衆がキビキビ働く様は、違和感なく今っぽい。

蔵の正面に陣どる大井戸。昔から仕込み水に使っている湧水で名刹神池寺山の伏流水は、柔らかくたおやかな軟水。年間を通して15℃と安定した水温。いわば山名酒造の秘密のお宝だ。酒の工程を表すのに「一麹、二にもと酛、三造り」があるが、酒って大部分を占めるのは水では? 「酒造り一番の決め手は仕込み水の善し悪し」と語るのは丹波杜氏の青木卓夫氏。杜氏歴50年、数々の銘酒を造り出してきた山名酒造もう一つのお宝である。

それにしても真冬の仕込蔵の底冷えは厳しい。寒中仕込みの意味を聞いてみると「微生物も、水も、空気もすべてのものが動かず、澄みわたる“不動”の時が新しい生命を育む」(深いお答えでした)。そんな歴史ある蔵造りを守りつつ新しい試みにも挑戦する山名酒造。リーダーは先代から引き継いだばかりの山名洋一朗代表。若干31才。地元農家の有機栽培米、兵庫県産の指定酒米と「地元」にこだわる。酒業界の若手は斬新さを目ざす傾向があるが洋一朗さんの原点は何か。

若い頃ヨーロッパの地方を訪ね歩いた。どの地方、どの街、村も昔と変わらぬ風景は一幅の絵画。そこには日本では失われつつある郷土の歴史、文化への誇り、暮らしへの愛があった。今期新しく仕込む木桶の酒。そこには日本の桶文化を守りたいという想いがある、と言う。拍手!! 

別れ際に仕込み水を所望した。ひたすら優しく、身体のすみずみまで潤してくれた。山名酒造お宝のおすそ分けである。

2022年『Life』160号



左から山名洋一朗さん、先代の山名純吾さん、青木卓夫さん
左から山名洋一朗さん、先代の山名純吾さん、青木卓夫さん

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