若狭すっぽん養殖場 (福井県若狭町)
若狭湾の魚や無農薬米ぬかなど
自然の餌で育てています
普段、私は父が起業した設備工事会社に勤務しています。私は、地元で頑張る父の姿をカッコイイなと幼いときから感じ、いつか自らの力で起業したいと思っていました。私が住んでいる若狭町は、高齢化を通り越して超高齢化の町。この町に住む者として何か町の活性化につなげたいと考えていたところ、近くの川に天然のすっぽんが生息していてなじみがあることから、美容、健康に良いとされるすっぽんの養殖を思いついたのです。
私がすっぽんの養殖技術を教えていただいた九州の養殖場は、餌はすべて配合飼料のみでの飼育でした。しかしそのことに疑問を感じ、また他の養殖場とは違う何かが必要だと考え、この自然豊かな福井県若狭ならではの餌を使おうと、近海で獲れる小魚や無農薬栽培米の米ぬかなど、自然のすっぽんが食べるであろう餌をそのまま与えることにしました。そうすることで肉質や脂身の質が良くなったと思います。また、以前テレビでふぐの養殖時に大量のホルマリンを海に投与して皮膚表面につく虫を殺しているのを見て、大変危険なことをしているのだなと感じていたので、自分が養殖業になってから一切薬の投与はしていません。養殖場は北近畿一水質が良いとされる福井県の北川水系の上流に位置し、きれいな水がふんだんにあるので、滞留方式ではなく流水方式で水を入れ替えることによって病気にかかりにくくなります。
すっぽんはたいへん臆病な性格で、物音や人の気配があると水中からまったく姿を見せません。餌は水中ではなく水際に置くのですが、まったく餌を食べに来なくなるのです。それとストレスがあると、かみ合いをして傷つけあいます。人の気配や騒音を避け、過密飼育しないようにして、できるだけストレスがかからないように気をつかいます。その点、若狭すっぽん養殖場は、日当たりの良い山間にあり人気も少ないので最適の場所です。
3~4年の間、冬眠と成長を繰り返しながらすっぽんは成長します。冬眠期間中、すっぽんは自分の脂身を消化して水中で仮死状態のまま過ごします。ですから春になると重さが軽くなってしまいます。しかし冬眠をすることによって春から秋までの間たくさん餌を食べ、良い脂身を十分につけて再び冬眠をします。養殖業者の中には冬眠させずに暖かい温水を使って冬でも餌を与え大きくしている方もおられますが、すっぽんの肉、脂身を見れば違いはわかります。
若狭産の自然の餌をたっぷり食べてゆっくり育ったすっぽんのおいしさを、ぜひ一度ご賞味ください。
(若狭すっぽん養殖場 藤川貴浩)
若狭すっぽん鍋セット
スープは「杉樽醤油」と「蔵の素」を使った本格派。すっぽんとお好みの野菜を入れてどうぞ。