産直の野菜、果物、お肉などを宅配する「よつ葉ホームデリバリー」-
お届けするのは作る人の想いと、信頼できる食品です

よつ葉のインターネット注文︎
関西よつ葉連絡会

斗六屋(とうろくや)(京都府京都市)

日本の食の文化財=甘納豆のすべてを知りたいと邁進しています
斗六屋



初めまして。京・甘納豆処 斗六屋4代目、近藤健史と申します。私、甘納豆研究家を名乗っております。家業である斗六屋は、京都で1926年創業の甘納豆専門店です。

私が家業に入り5年目になりました。今、甘納豆作りは、私の天職であると思っています。しかし以前は、家業にまったく興味がなく、むしろ絶対にこの仕事だけはしたくない、と思っていました。それは私が中学生の頃、友人に「甘い納豆なんて…」といじられたことがあったからです。それ以来、家業のことを恥じ、隠してきました。古臭い仕事だと思い、その反動か最先端のものに興味があり、新しい発見のある研究に惹かれ、大学院まで進学させてもらい、微生物を研究していました。ところが、就職活動をきっかけにいろいろな仕事を知るなかで、家業のことをまったく知らないことに気づき、社会勉強に手伝ってみようと思いました。

一年でもっとも忙しい節分祭の販売を手伝い、私は感動しました。3日間でお店に約3000人ものお客様が来てくださっていました。そして、たくさんの嬉しいお声をいただきました。「毎年楽しみにしてる。いつもおいしい甘納豆をありがとう」 私は「この店はなくてはならない店だ」と心から思いました。また、好きな研究を続けてこれたのは、こうしてお客様に、家業に、そして甘納豆に支えられてきたからだと気づき、恩返しがしたいと、継ぐ決心をしました。ですから、恩人である甘納豆には、人並みならぬこだわりがあります。

甘納豆作りの面白さは、シンプルが故に、深く研究のしがいがあることです。“豆を炊く”といっても、豆の種類ごとに違いますし、同じ北海道の小豆でも、年度が変わればベストな炊き時間は変化します。相手は自然なので、実験室のように同じ条件にはなりません。自然(素材)の理解が必要です。だから、私は素材が生まれる現場を訪れるようにしています。材料は、素材と甘味のみ。ですがここに無数の組み合わせがあります。さらに、京都の夏にはかかせない和菓子、水無月の材料でもあるように、別のお菓子とコラボレーションすることもできます。そして、日本の食の文化財としての価値も持ち合わせています。こんなに面白い菓子は、他にないと思います。

私は甘納豆のすべてを知りたいと思っています。それは科学、文化両面の理解と共に、芸術的な創作活動でもあります。

「家業は先祖から与えられた楽しい課題」。私が好きな言葉の一つです。課題として甘納豆を選んでくれた創業者、そのバトンをつないでくれた祖父、叔父、さらに斗六屋に縁あるすべての人々に感謝しつつ、斗六屋のDNAである“都名物”にふさわしい価値ある甘納豆づくりに、これからも邁進していきます。

(斗六屋 近藤健史)
2020年『Life』520号



近藤健史さん

  1. < 斗六屋
    甘納豆丹波黒豆
    丹波産黒豆をふっくらと炊き上げ、4日以上かけて、
    やわらかいまま、中まで蜜をふくませました。

Copyright © 関西よつ葉連絡会 2005 All Rights Reserved.

SSL GlobalSign Site Seal