エコファーム丹波 (兵庫県丹波市)その1
豪雨災害から約一年。 ようやく「平飼いたまご」の再開です
2014年8月に丹波地方を襲った豪雨被害によって鶏舎が被災し、平飼い養鶏を断念せざるをえない状況だったところ、たくさんの方々からの援助があり、おかげさまで今年3月末に新たな鶏舎が完成、このたび平飼いたまごを出荷できるようになりました。1年も経たないうちに再建することができたのも皆さまのおかげだと本当に感謝しております。
被災した4棟の鶏舎を前に、大きな衝撃を受けながら、鶏の生死の確認、エサや水の状況など現実がどのようなものかを冷静に判断しようと必死でした。被害にあったのは平飼いの鶏舎だったため、土砂が流れ込んだ時に多くの鶏が高いところに飛んで避難することができたことで、思ったより多くの鶏が生存していました。しかしながら、鶏舎に続く道が川の氾濫により崩れ落ち、エサや水をやる機械も完全に停止してしまっていたため、まずは生き残った鶏を早急に移動することが必要でした。泥土の中で鶏を一羽ずつ捕まえてはカゴに入れて運び出すのですが、この作業は想像以上に手間がかかりました。たくさんの人たちに手伝ってもらっても一週間以上の時間がかかり、多くの鶏を救出することができましたが、残念ながら亡くなってしまった鶏もいました。
被害にあった鶏舎は、川の氾濫で道路が崩落、また土砂崩れで水源が埋まってしまい、同じ場所での再建は断念せざるを得ませんでした。悩んでいたところ、行政より復興事業による補助のお話をいただき、新たな平飼い鶏舎の再建に挑戦することになりました。但し復興事業を活用するには、今年3月までに鶏舎の建築が完成していることが条件だったため、厳しい冬の寒さの中、作業を急ピッチで進め、何とか期間中に完成することができました。
再建できたとはいえ、被災した元の鶏舎の4分の1の規模です。それでも平飼い養鶏を再開できることは本当にありがたいことです。逆に少羽数であることを活かして、オスを入れたり、天気の良い日は外に出したりと、どこまで昔ながらの庭先養鶏に近い環境で飼育することができるのかをチャレンジしていきたいと思います。また遺伝子組み換えや収穫後の農薬・薬剤など飼料の安全性はもちろんですが、より自然に近いものを手作業で与えるなど、生産コストはかかっても平飼いだからできる、よりおいしいたまご作りに取り組んでいきます。被災前から取り組んできた、自分たちのたまごを使ったスイーツ作りにも皆さまに喜んでいただけるよう、いっそう頑張ります。
4月に初めての鶏が鶏舎に入ったばかりで、まだまだ安定した生産量には至りませんが、ようやくここまで復興することができました。でも、まだまだこれからが本番です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(エコファーム丹波 芦田昭也)
2015年『life』300号
3月にできた鶏舎で育つ鶏たち
運動スペースを確保された平飼いの鶏から生まれた健康なたまご。
エコファーム丹波・芦田さんちの平飼いたまご6個
ケージ飼いの鶏舎で飼育した鶏のたまごです。無洗卵。
エコファーム丹波・芦田さんちのたまご10個
卵をたっぷり使いふわふわに仕上げました。
やさしい風味、ふわっと溶けるような口溶け。
エコファーム丹波・たまご農家のふんわりシフォンケーキ