竹千寿は、福岡市と北九州市の中間の山間部に位置する宮若市に本社工房を構える、九州発のちまき専門店です。竹に節目があるように、人の人生にも節目がある。竹と人の人生とを重ねあわせ、人生の節目節目で慶びごとやお祝い事を幾重にも重ねていただきたいという想いから、「竹千寿」は誕生しました。
きっかけは、今から25年ほど前に創業者である池田秋美が友人から竹の有効活用について相談を受けたことです。当時、福岡県各地で放置竹林による竹害が問題になり始めていました。そこで池田は、竹の香りや殺菌効果を活かして、竹の器にちまきを詰めた「竹ちまき」を考案。初めは友人知人に配る程度でしたが、商品化したいという想いもあり、現代表である娘の私が商品化を進めて世に出しました。独創的な商品であったためか、雑誌やカタログ等で取り扱われるようになりました。その後、味のバリエーションを増やし、もっと手軽に食べたいというお客様の声をもとに、笹で巻いた笹ちまきを作りました。
主原料のもち米をはじめ、素材は九州産を中心に使用しています。竹は、宮若市や周辺地域の竹林に自社スタッフが出向いて伐採し加工(残念ながら熊笹は、地元では製造に必要な枚数が確保できないので、国産品でまかなっています)。また、小さな釜で一回一回炊き込んでいるため、大量に作ることもできませんが、その分、宗像漁港で揚がる穴子や鐘崎漁港の真鯛やワカメなどの地元素材や高級素材としてホテルや料亭で使われるような素材も仕入れ、大切に使っています。商品ごとに使われる出汁やタレも手作りの自家製レシピで行っており、食感や風味に活かされています。
蒸しあがったちまきは、一つ一つ丁寧に手で巻き、たこ糸で松葉結びという結び方で結います。その後、再度蒸して粗熱をとり袋詰めがおわると急速冷凍します。そうすることで、できたての見た目と香り、食感・風味を味わっていただけるようになっています。特に香りは、召し上がる前に温め直すことで、笹の爽やかな香りが復活します。
これまでに20種類近くのちまきのレシピを作ってきました。今後は和洋中問わず、また新しい食材も使いながら、素材の良さをどうしたら存分に活かせるのかを考えて、喜んでいただけるような惣菜やちまきに合う逸品を作っていきたいと考えています。
(竹千寿 安部和美)
2022年『Life』240号
安部和美さん(前列右から3 番目)とスタッフの皆さん
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