耕(たがや)しや(兵庫県丹波篠山市)


耕しやは丹波篠山で家族中心の農業を営んでいます。主な生産物は、米、黒枝豆、黒大豆、大納言小豆そして、黒豆みそです。毎日「農とは何んぞや!」と奮闘しています。
私が幼い時から農業は側にありました。祖母に子守をかねて田畑に連れて行かれ、四季折々の農作業や、風景を目にしてきました。小学生くらいになると、田植えや稲刈りを手伝うようになりました。
心の中にはいつも農業の存在があり、この家、この丹波篠山に生まれた特権だと感じています。
丹波篠山は、黒大豆・山芋・大納言小豆など、昔から多くの特産に恵まれています。それも、粘土質の強い土、ミネラルの豊富な山水、特有の気候風土、そして先人の知恵、多くの農法があればこそ。耕しやは丹波篠山の豊かな土壌の可能性を探求し、先人の残したものを吸収、発展させ、この地で守破離を(しゅはり)実現していきたいと考えます。また、できるだけ農薬、化学肥料の使用を減らした農業を行っています。
イタリアの代表的米料理のリゾットに使うカルナローリは日本のお米とは違い、粘りが少なく、粒の大きさが倍ぐらいあります。そして、イタリアでは数年熟成させたお米を使う習慣があります。それは、収穫から時間を置いたお米の方が、米粒の外側や中心部の澱粉質が時間の経過によって硬く壊れづらくなり、扱いやすくなるからです。これと同じ理由で日本のお寿司屋さんは新米よりも半年から1年後のお米を使用されます。もう一つ、熟成させて良いことがあります。それは加熱時の吸水が良く、大きく膨らむためブイヨンをたっぷり吸ってとてもおいしく仕上がるのです。という訳でイタリアでは古米ならぬ熟成米がリゾットに向いているとされています。
耕しやでは玄米の状態で低温倉庫に保管し、しっかりと管理した状態の熟成カルナローリをお届けしています。注文を受けてからその都度精米を行います。米の粒が長く割れやすいので、精米は低圧力で時

間をかけてじっくり行ったうえに、もう一度ふるいにかけて粒を揃えています。通常の何倍もの時間と手間をかけることで、国産カルナローリをお届けできるようになりました。ぜひ、この機会にご賞味ください。
(耕しや 阪東佑貴)
2020年『Life』360号

稲刈り

田植え
耕しや
丹波篠山産イタリア米カルナローリ
丹波篠山産イタリア米。粘りが出にくく、アルデンテの
状態が長く続くのでリゾットに適しています。