食彩あん(京都府南丹市)その4


日頃より私たち食彩あんの各種ジャムをご愛顧いただきまして厚く御礼申し上げます。今回は、地元の京都丹波の農業の現状と食彩あんの取り組みについてお話しさせていただきます。
食彩あんのジャムに使っている原材料は、地元素材やよつ葉の生産者さんの素材を使っていますが、ここ数年、特に山里の地元素材を確保することがだんだん難しく不安定になってきています。その理由はいくつかありますが、大元になっているのが山間農業の存続の危機的な状況です。
マスコミなどでも以前からも指摘がなされているように、もともと農業は、収入が不安定なことから年金生活をする高齢者しか営農できず、若い生産者の新規就農が少ないことから、特に山間部での高齢化は深刻になっています。そこに追い打ちをかけるように地球温暖化による極端な気候変化が重なっています。最近の極端な降雨や日照り、気温の変動は、いわゆる正規品(出荷できる綺麗な見栄えする農産品)の収穫量を低下させて、農業収入をさらに減少させ、それが若い生産者をなお一層遠ざけることになっています。そしてその結果、耕作放棄地が増えることで、鹿やイノシシはもちろん、意外にも外来生物のハクビシンなど、害獣や病虫害が増えて、益々正規品の収量が減ることになるという、今まさに悪循環が重なっている状況にあります。
もちろん、行政もいろいろな対策を打っています。また、耕作できなくなった農家の田んぼを請け負う少数の農家もあります。しかし、その請負数も限界に近づいていて、また、請け負ってもらう側も請負料金がかかることから、子どもの代で断念している所もあります。田畑は、草刈りや水路の管理と維持するのに非常に労力と費用がかかるのです。この問題の根本として、田畑の利用を進めることで収入の安定化につながることが非常に重要です。
そこで食彩あんとして、近隣の新規就農者で苺の施設栽培をおこなうグループとコラボし、少しでも生産者の収益を改善、安定化するよう協同の取り組みを始めました。正規品のみならず形が悪くても味や風味が変わらない素材を加工することで農産品のロスを減らし、また一方で、直接仕入れることにより中間・輸送コストを削減することが可能となり、その分、販売価格に還元することができるようになりました。
京都丹波の山里では、少しでも田畑の利用を進めることが急務になっていて、そこで農産品を栽培する生産者を地域で支え守ることが非常に重要になっています。食彩あんはその一助になればと思っています。
(食彩あん 西田貴彦)
2022年『Life』140号

いちご農家の山本さん(左)と西田さん
いちごの風味ゆたか
食彩あん
京いちごジャム
風味豊かな京都産いちごを使い、粗糖とレモンで仕上げました。砂糖は控えめにし、フレッシュな仕上がりに。
原材料:いちご、洗双糖(粗糖)、有機レモン
よつ葉の梅で作りました
食彩あん
うめジャム
奈良県西吉野の萩本さんの梅と粗糖でジャムにしました。梅の美味しさがぎゅっと詰まった深みのある味わい。
原材料:うめ、洗双糖(粗糖)