食彩あん(京都府南丹市)その2
食彩あんは、京丹波地方の山深くにあります。私は約15年間、製薬企業の社員として病院を回っていましたが、その中で目にしたのは大量の薬に頼る患者さんでした。また、自らもひどく体調を崩し健康の大切さを痛感しました。そこで、以前から健康の源である食材に興味があったので、南丹市で一から農業に挑戦し、京野菜をはじめとして加工用のブルーベリー栽培を始めました。
当時、地域には過疎と高齢化のため、引き継ぐものがなく、一旦閉鎖になっていた加工場がありました。妻が調理師の免許を持っていたこともあり、それを活かした加工品が作れればと思い、加工場を再開させ、素材の“あん心” “あん全”の誓いをこめて“食彩あん”と名付けてジャム作りを始めました。併せて京都では珍しいラズベリーやブラックベリーの自家栽培も始めました。
原料と加工の生産者となることで、生産者としては素材の良し悪しの目を養うことができ、また栽培の苦労や栽培方法や環境の大切さを身にしみて感じていることから、素材が持っている丹波の風土を引き出し、その風味を活かしたジャム作りができるのではないかと思っております。そして生産者どうしの横のつながりから、地元京丹波のブランド産品の中でも良質な丹波栗や丹波の黒豆を、ジャムの原料として使うこともできるようになりました。皆さんの「おいしい~」の一言をいただくために生産者の目を持って丁寧なジャム作りを今後も心がけてまいります。
(食彩あん 西田 貴彦)