四海漁業協同組合


四海漁協は瀬戸内海の小豆島の北西部、土庄町(とのしょうちょう)にある漁協です。組合員数は年々減少傾向にありますが、現在正組合員・准組合員併せて110名程度います。主に底曳網、流し刺網で漁をおこない、冬場には海苔養殖を行う組合員もいます。
底曳網では、エビ類、ハモ、カレイ、ゲタ(シタビラメ)、アナゴ、イイダコ、イカ等が獲れ、流し刺網では、サワラやマナガツオが獲れます。海苔養殖で採れた海苔は、板海苔や佃煮に加工され販売されています。
小豆島は周りに多数の半島があり、複雑で多様な入江で形成されているため、エビやカニ等の甲殻類も多く獲れます。また、世界有数の瀬戸内海の速い潮や豊富なプランクトンにより、そうした環境で育った「島鱧」は上質な筋肉質で、他の産地に比べ身に甘みがあると言われています。
しかし、以前は知名度がなく、香川県下では漁獲量に対して需要が少ないため安価で取引されていました。そこで、2015年度から事業を開始し、PRのため「四海漁協おいしいハモをとどけ隊」を発足、設備の充実化を図り「小豆島 島鱧」としてブランド化することとなりました。
「島鱧」は漁獲区域、漁獲方法、魚体の重量、漁獲後の管理方法の4つの基準をクリアした、高品質の鱧を選別し、出荷しています。具体的には、①小豆島近海で漁獲されたもの、②サイズは300g以上2kg未満、③漁獲時間を1時間程度に短くすることで、網スレによる魚体のキズを少なくする、④漁獲後は温度、水質管理された専用の蓄養水槽にて品質管理し、ハモのストレスを軽減して出荷しています。ストレスが少ない魚体は〆た後の死後硬直を遅くすることができ、鮮度が長持ちします。さらに船上でキズやサイズの選別を行うことで、他産地と比べても、より美しい魚体のハモを供給することが可能となっています。
また、10~11月に獲れるハモは「戻りハモ」と呼ばれて品質も良いのですが、これまでは関西圏での需要が少なく、取引価格も低くなっていました。そこで、骨切り等の一次加工品をおこなうようにしました。漁業者から一定の価格で直接購入することで、漁業者の収入も確保でき、私たちにとっては、鮮度も良いハモを入手できるようになりました。そして「島鱧」を年間を通して出荷することが可能となりました。
これらの取り組みの甲斐あって、京阪神への出荷量、販売単価は2015年度から2020年度の間にそれぞれ約2倍となりました。ハモを漁協に出荷する漁業者は、スタート時点では十数名でしたが、年々増加して、今では35名程度(所属の底曳網漁業者:100%)になっています。
今後も「島鱧」の知名度を上げていき、多くの人に「島鱧」を召し上がっていただきたいと考えています。

(四海漁業協同組合 須浪宏太)
2021年『Life』310号

四海漁業協同組合
小豆島のハモ(骨切り)
香川・小豆島の漁師が近海で獲ったハモを骨切り・急速凍結しました。鮮度よく、身の締まったハモです。