すや亀(野県長野市)

私たちが社是として掲げているのは「不易流行(ふえきりゅうこう)」、そして「真味是淡(しんみこれたん)」です。「不易流行」は松尾芭蕉が信条とした理念で、“変わることのない永続性”と“時代と共に変わる流動性”を表しています。そして「真味是淡」は、17世紀の中国明の時代、洪自誠(こうじせい)が著した人生の指南書「菜根譚(さいこんたん)」の一節、「醸肥辛甘(じょうひしんかん) 真味にあらず、真味是ただ淡なり。神奇卓異(しんきたくい)は至人にあらず、至人はただこれ常なり」からきています。
これは、“濃い酒、こってりしたもの、甘過ぎ、辛過ぎは本物の味ではない。本物の味は淡白なものである。奇抜なふるまい、奇抜な才能を振り回す人は道を究めた人でない。真の人物というのは平々凡々な尋常な人である”という意味です。“あっさりした飽きのこない味こそ本物である”とは、まさに当店の目指す味噌の神髄。ご飯とみそ汁のように毎日食べても飽きない味が大切です。そして企業としても飽きることなく、皆さまに親しんでいただける「真味」を目指しています。
最近、無添加をうたうダシパックが人気で売り上げを伸ばしています。しかし表示を見ると無添加ということで確かにグルタミン酸やイノシン酸等化学調味料は使われていませんが、酵母エキス、たんぱく加水分解物、鰹エキス、昆布エキス等が原料として加えられています。これらの製造工程を見ると、ビール酵母、植物蛋白、鰹、昆布などの原材料を薬品、アルコール、酵素を使って抽出したもので、個人的には化学調味料と大差ないのではないかと感じております。ダシとして味が強いのかもしれませんが、食べ続けると味覚の低下が危惧されます。
そんな思いもあって当店の加工品には、エキス類は使わずにカツオや昆布を煮出したダシを使っております。化学調味料に慣れた方には当店の加工品、食卓の友シリーズやフリーズドライ味噌汁の「ずくいらず」等には物足りなさを感じるかもしれませんが、原材料本来の味を活かした飽きのこない味です。「亀の歩みでもう一歩を」行動指針としている私たちすや亀の「真味是淡」をご理解いただければ幸いです。
(すや亀 青木 茂人)
2017年『life』380号
すや亀の青木さん(新木樽の前にて)
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酢屋亀本店
七味辛みそ
香りのよい中辛の七味を門前みそに
練りこんでいます。焼肉や炒め物、
冷奴や湯豆腐に乗せてもおいしい。
酢屋亀本店
即席みそ汁 ずくいらず(エリンギ)
自慢の味噌と天然だしにこだわりました。
フリーズドライ。酵母エキスは不使用です。
酢屋亀本店
こがね無添加カップみそ
歴史ある善光寺門前みそ。
国産大豆と国産米、シママースで
仕込んだ甘口の香り豊かな信州みそ。