知床吉野


知床吉野は、北海道入植の後期にあたる1933年、兵庫県淡路島の沼島より斜里町に移り住んで創業しました。今の代表、吉野英治で3代目、町内でも古株になります。創業時は醤油・味噌を作っておりましたが、現在は水産加工、地場料理店も営んでいます。
斜里町は北海道の道東、知床半島の付け根あたりに位置し、知床の大自然は2005年に世界自然遺産に登録されました。オホーツク海の流氷はロシアのアムール川の水が凍ったものと言われております。近年の研究では、山からの鉄分を豊富に含んだ流氷により爆発的に増えるプランクトンがダイナミックな食物連鎖のきっかけになっていると言われています。
私たちは「斜里町産の水産品のファンを増やしたい」をコンセプトに美味しくて安心安全な食品づくりをしております。扱う魚種は主に桜鱒、バイツブ、きんき、ほっけ、ぶり、銀がれい、鮭などの旬の時期にオホーツク海で獲れた脂のり抜群の魚介です。
行っている加工は、主に干物、刺身製品、漬魚です。干物は陰干しといって屋内で微風を当て長時間かけて干す製法です。天日干しと比べて気候条件をコントロールできるのと、自分の目で確かめながら取り込めるのが良い点です。また甘塩で美味しく干すためには陰干しのほうが向いてます。年中通して冷涼な斜里町だからこそできる製法です。
刺身はその日に水揚げされた、特に良い魚だけを刺身にします。魚を仕入れる際の目利きと、素早く加工することが重要となります。また3D急速冷凍機という最新の設備を導入したことでより鮮度よく製品化できるようになりました。
漬け魚は主に、魚本来の味を生かした味噌漬けです。こだわりは国産原料の味噌床で、なかでも隣町の網走の味噌蔵の味噌を主に使用しています。市販品では高級魚の漬け魚を多く見ますが、輸入原料が多いようです。鮮度の良い国産の魚の味噌漬けは全国でも少ないので、私たちは国産の美味しい味噌漬けをつくることにこだわっています。
斜里町は近年では不漁が続いておりますが、今も18年連続鮭鱒漁獲量日本一の町です。しかし、以前は斜里町産をアピールできず、北海道産として一括されて市場で流通がなされてきました。今、漁業および水産関係者は産地や仕事内容を伝えることの大切さを改めて感じ、年々減っていく水産資源を保全し、未来に私たちの海を残す努力を模索しています。良いときばかりでは決してありません。それでも、これからも知床の海産物が身近に感じられ、美味しいと感じていただけるような商品づくりを続け、知床の自然を守る一助となり、未来に向けて担う企業へと成長したいと思います。
(知床吉野 吉野壮亮)
2021年『Life』440号

吉野壮亮さん
知床吉野
知床のさくらます味噌漬け
斜里町で獲れた旬の桜鱒の味噌漬けです。
桜鱒の風味が引き立つよう漬け具合にこだわりました。
原材料:桜鱒(北海道産)、味噌、みりん、清酒、砂糖
知床吉野
知床のさくらますルイベ(刺身用)
知床斜里町で水揚げされた旬の時期の天然の桜鱒です。半解凍で刺身・カルパッチョにどうぞ。