四海漁業協同組合(香川県小豆郡)


四海漁協は小豆島の北西部、土庄町(とのしょうちょう)にあります。組合員数は127名(正組合員65名、准組合員62名)、水揚高は約6億円(2018年度)、漁船隻数259隻で、島内5つの漁協のな
かでは最大ですが、といっても職員数6名と小さな漁協です。
四海漁協では、底曳網(そこびきあみ)漁業、刺網(さしあみ)漁業、海苔養殖、タコ縄などが盛んにおこなわれており、漁業者のほとんどは底曳網と刺網漁で生計を立てています。底曳では、主に小エビ類(サルエビなど)やカレイ類をメインに漁獲し、刺網漁業ではサワラやマナガツオを漁獲します。漁業者の多くは地元の小豆島ではなく、昔からの付き合いや文化などの理由から対岸の岡山県の仲買に販売するのが一般的です。漁場から近いので水揚に手間が掛からず、物流コストが削減できるなどのメリットがありますが、反面、魚価を叩かれたり、岡山県産として出荷されるため、四海漁協としてのブランドづくりにはつながってきませんでした。
一方、当漁協も後継者不足のなかにあります。50歳以下の漁師は9名だけ、子どもへ跡継ぎを進める漁業者は少ないなかで、15年後には組合員数は20名弱になってしまうことが予測され、まさに組合存続の問題に直面しています。
そこで私たちは、底曳網で獲れるハモに着目し、漁協として取り扱うことでハモに特化して事業化していくこととしました。
ご存じのようにハモは、関西では夏の魚として重宝され、高値で取り引きされています。一方で、ここ15年ほどの間に瀬戸内海でのハモの漁獲量は増加傾向にあるにもかかわらず、香川県においては需要が少なく、安価な魚としてしか取り扱われてきませんでした。品質保持の面で取り扱いの難しいハモは漁業者にとっては、利益にならない魚として認識されていました。
これを漁協が主体的に関わり、付加価値をつけて販売することで、利益にならないハモから利益になるハモに転換できないかと考えたのです。小豆島近海で漁獲され、稚魚と卵を抱いているメスを獲らないために重量が300g 以上2kg未満のハモに限定し、水揚げ後の品質管理の基準を満たしたものを「小豆島 島鱧」とブランド化して、関西方面への販売に取り組んできました。さらに、活魚での販売だけでなく、骨切りやミンチにするなど一次加工販売まで地元で手掛けることも始めました。

ハモのブランディングをキッカケに、小豆島にハモの新たな食文化を作り出し、漁業・漁村の発展と活性化を目指していきたいと思います。
(四海漁業協同組合 田中佑季)
2020年『Life』280号


四海漁協組合長の穴山雅博さん
四海漁業協同組合
小豆島のハモ(骨切り)
香川・小豆島の漁師が近海で獲ったハモを骨切り・
急速凍結しました。鮮度よく、身の締まったハモです。