四万十川下流漁協 (高知県四万十市)その1
川の恵みをつないでゆくために
日本最後の清流と言われる高知・四万十川は不入山(いらずやま)を源流とし、その流長は196kmを誇ります。高知県中西部を逆S字を描くように蛇行しながら多くの支流を集め、四万十市(河口は下田)で太平洋に注ぎこむ自然豊かな川です。古くから河川漁業が盛んで、漁業のみで生計を立てています。川には天然ウナギ、アユ、ゴリ(チチブ、ヌマチチブ)、ツガネ(モクズガニ)、テナガエビなどの希少種をはじめ、約200種類の魚介類がいるといわれています。さらに河口付近の汽水域における天然すじ青のりや青さのり(ひとえぐさ)は四万十川を代表する産品として知られています。
ところが河口部で防波堤の建設がすすんだことなどから、河口部の砂州が消失し、河川環境が激変してきました。2005年以降は収穫量がそれまでの5分の1以下に落ち込み、現在も減少し続けています。砂州の消失で、すじ青のりや青さのりに必要な栄養塩などが河口付近に留まらず、海に流れ出ているのが原因とみられています。
対策として失われた砂州の代わりに、しゅんせつ土を投入したりもしてきましたが、なかなか効果が上がっていないのが現状です。しかし代々受け継がれてきた、味が良く香り高い四万十のすじ青のりはなんとか守っていきたいのです。そのためには川の環境保全活動もまた、私たち四万十川下流漁協の大切な務めだと考えています。
(四万十川下流漁協 山崎 清実)