三和農産(島根県出雲市)

三和農産は、神話の郷として有名な島根県出雲市の地で栽培から加工、販売まで(6次産業化)のすべてに関わり、農業の新たなる価値の創造を目的に掲げている農業生産法人です。
私たちが、いわゆる有機農業との関わりを持つきっかけは、今から30年ほど前に家族が病気になったことに始まります。生活習慣を見直すことや主に食生活について考える機会が多くなる中で「食事療法」「玄米食」などにめぐりあい、勉強して実践することになりました。食事について勉強、実践するうちに多くの同じ思いを持つ方たちと出会い、ご縁をいただくきっかけにもなりました。「玄米食」と一言でいっても、玄米であれば何でもよいというわけではありません。栽培する人の考え、方法が密接に関わってくることなど、この時期に多くを学びました。時代はまだ「環境共生農業」などと誰も言い始めていなかったので、玄米食にふさわしいお米の生産は本当に数少ないものでした。
家業が農機具販売業を営んでいたこともあり、先代が自らお米作りをやってみようと試みて挑戦したのが、私たちの農業への入り口となりました。ノウハウがあるわけでもなく何度も失敗しましたが「家族や仲間のために」との思いを持って取り組み続けました。おかげさまで、なんとか年を追い、作り始めて15年を過ぎた頃から見え方が全く変わってきて、お米を育てること、できることに集中して取り組めるようになってきたように思います。
農業に取り組めば取り組むほど、人類が作り上げた物質文明の素晴らしいところ、また一方で経済偏重によって、大切な水や食べものや空気が本来の姿を失い、自然界にも大きな歪みが生じてきていることを痛感します。本当の幸せとは何か、本物とは何か、大切にするべきものは何なのかを真剣に求めるとともに具体的な行動を進めなければならない時が来ていると思います。子々孫々が永続して生きていける生命エネルギーのある食べものや空気をとり戻さねばなりません。
私たちはただ作ることから脱却して、消費者の皆さん、生産する人たちにとって役に立つ農業を実現したいと思っています。農作物を育てることは地域の空、土、水と時代を超えて関わっていると強く感じます。「生きた土づくり」を行うことにより、皆さんの健康と環境浄化に役に立

ち、美しい環境を子どもたちに残し、共存共栄できること念じています。私たちは、これからも「感謝・感動・成長・還元」という理念のもとに、皆さんからおいしいと喜んでいただけるように、全員が日々生産に、製造に心を込めて取り組んでいきます。
(三和農産 渡部祐三)
2019年『life』230号

稲刈りの様子
三和農産
食べる発酵生みそ
金山寺みそタイプの野菜入り発酵生みそ。
ご飯のおかずはもちろん、生野菜とあわせてもOK。
三和農産
いづも美人(玄米おかき)
島根産・有機玄米の生地を一番絞り菜種油で揚げて
塩で味付けしました。後味さっぱり。