三和物産(鹿児島県鹿屋市)

鹿児島では「だっきしょ」の通称で呼ばれている落花生は、アンデス山脈が原産地ですが、大隅半島では1930年代から作られていました。生育が独特で、黄色い花が咲いて受粉をした後、「子房丙(しぼうへい)」というつるのようなものが地中まで伸び、地中で実を実らせます。花が落ちて実が結ぶことから「落花生」と名前がつけられたようです。
鹿児島の郷土料理には「だっきしょ豆腐」という落花生を使った豆腐(ピーナッツ豆腐)があり、固めるのにサツマイモ澱粉を用います。他にはないねっとりした食感で、甘く煮詰めた醤油をかけて食べると絶品です。また、収穫直後にしか味わえない「塩茹で落花生」は、枝豆を超えるおいしさで県内では焼酎のお供や子どもたちのおやつとしても大人気です。一度ぜひ、ご賞味ください。
私たち三和物産は、もともと緑化樹木の生産・販売を主な事業としてきました。しかし、地元で耕作放棄地が増えてくる中で、畑を活用することができ、かつ台風被害の少ない作物はないかと模索を始めました。そして、かつてこの地が落花生の産地であった事に注目し、約10年前から栽培を始めました。当初は、私たち自身が農業に不慣れだったために苦労も多かったのですが、地元の農業試験場に相談したところ、新品種の「郷の香」を薦められ、その栽培に力を入れるようになりました。
落花生は栽培期間が長く、春先3月の種まきから、8〜10月の炎天下の中での収穫まで作業に追われます。土の中で結実する作物のため、水はけなどの土壌改良に力を入れる必要がある一方、7月頃からは、実が大きくなるには適度な水分が必要になります。農薬・除草剤をできるだけ使用しない事にこだわっていて、広大な畑の草取りも手作業でおこなっています。また収穫後の選別も、「見た目」にもこだわり、一つ一つ丁寧に人の手で厳選しています。また、「郷の香」という品種は煎り加工には向かないと言われていましたが、この地域の風土と気候で育ったものを煎ってみたら、甘味が強く感じられる風味の逸品に仕上がりました。
最近、落花生はその薄皮に多く含まれるポリフェノールの一種が美肌効果、血管を健康にする、アンチエイジングなどの効果があると言われて注目されています。ぜひ薄皮ごとご賞味ください。

今後の展開としては、地域の生産者の方々を巻き込んで、今一度、この地を落花生の一大産地にし、地域活性を図れたらと思っています。また、落花生の新しい利用方法なども、発信できるように取り組んでいきます。
(三和物産アグリ事業部 川畑恵子)
2019年『life』120号

落花生生産者の皆さん
三和物産
鹿屋むきみ煎り落花生
鹿児島・鹿屋産の落花生を香りよく煎り、
むきみにしました。甘み、旨みたっぷりです。無塩。
三和物産
塩ゆでピーナッツ
鹿児島県産落花生(郷の香)を塩茹でしました。
煎りとは違う、ホクホクとした食感です。