三里塚物産(千葉県成田市)その1
未来につなぐ「土を守る闘い」
私たち三里塚物産は、地元では親しみをこめて「三里塚のらっきょう工場」と呼ばれています。成田空港の平行滑走路の南端、成田市東峰(とうほう)という地区で、空港の拡張に反対を続ける農家とともに、二分の間隔で襲う飛行機の騒音の中、生産活動を続けています。
皆さんは「成田三里塚闘争」をご存知でしょうか?
これは1966年に政府閣議決定によって開始された一方的な農地の強制収用と空港建設に対する反対運動です。闘争まっただ中の1970年代半ば、空港反対派の若手農家が中心となり、安全な農産物の生産を目指して無農薬有機農業への挑戦がスタート。産直とも組み合わせて自立する農業を目指しました。
三里塚物産はそうした中で、有機農産物の加工と販売を目指して1978年に設立。現在も伝統的な製法を基本とした、添加物を使用しない製品作りを続けています。設立から35年が過ぎた今では、地域に有機農業も根付き新規就農の多くの若者たちも集まることから『有機農業のメッカ』と呼ばれもします。
私たちは新規就農者には加工原料である落花生やらっきょうの生産を提案し、収穫後は本人の希望に応じて一部~全量の買い取りを実施。また年に数回、品質や生産量の向上と地域に溶け込むことを目的に、ベテラン有機農家を交えて勉強会を兼ねた交流会を開催し、直接的、間接的な就農生活のサポートも行っています。
当初から長い闘いを見越してきた反対運動ですが、もう半世紀近くになります。若手の有機農業者がこの地域の農地を引き継いで耕すようになった今、「土を守る闘い」(三里塚闘争)の理念は、原発やTPPの問題もふくめ、「農を守る闘い」として若い人に受け継がれているように思います。
(三里塚物産 平野 靖識)