宮城から大阪に移転し9年たちました。あの時は想像もしませんでしたが、この7月に初めての自社工場が摂津市に完成しました。支えてくださった皆さんに心から感謝しております。
この9年間にさまざまなことがありましたが、そのなかの一つとして働き方を考え直すことで多くのことを学び、再建の力となりました。私たちの働き方の象徴とも言える『パートさんが好きな日に働き、連絡なしで休める工場』にしてからは7年が経ちました。メディアで取り上げられたこともあり、さまざまな立場の方と話す機会が増え、働き方の問題というのは職場だけでなく、教育や政治や日々の生活まですべてとつながっていると感じました。
そんな折、SNS がきっかけで『パプアニューギニア海産の働き方や考え方を学校にあてはめたらどうなるだろう』と思い、それを投稿したところ大きな反響がありました。一つ一つを見ていくと無理そうな気がするのですが、全体で考えるととても良い学校に思えました。よつ葉さんに関わる皆さんには共感していただけるのではと思い、少しご紹介します。
きっとこんな学校になると思います。好きな日に登校して、どうしても嫌な授業は受けず、好きな時間に休憩し、好きな時間に帰る。でも授業を受ける時は一生懸命とりくみ、他の人の邪魔をしたり冷やかしてはいけない。友だちや先生の陰口や悪口を言ったり、人を傷つけてはいけない。もちろん問題は起こると思う、その時は先生に相談する。一生懸命授業を受けたなら、テストの点数は悪くてもいいし、宿題もない。
好きに休めるなら子どもたちは学校に来なくなるでしょうか。僕はそんなことはないと思っています。まわりの目を気にせず、点数や評価にとらわれないなら、のびのびと授業を受けることができる。学校が終われば、宿題がないのだから何を気にすることなく、おもいっきり友だちと遊んだり、習い事をしたり、読書やゲームだっていいだろう。メリハリが大切。そのぶん学校では授業に集中する。
どうしても学校が嫌な人は、苦しんでまで行く必要はないと思っています。でも、こんな学校だったら、行きたくなる気がします。子どもたちが自分で学校に行く意味を考え、自分で選択する。自分なりに一生懸命がんばり、泣くほど苦しかったり、一人で落ち着きたい時は休むこともできる。これからの社会に必要なのは周りと合わせて自分を消すことではなく、どんな自分も大切にして、生きることを楽しむ心のゆとりを持つことであり、それを学校生活のなかで学べるとしたらこんなに幸せなことはないと思います。
きっと周りの友だちや先生との人間関係も自分で学んでいけるはず。どんな子とも友達になれとは言わないけど、どんな子も排除しないことは大切。学校の先生に負担がかかると思われそうだけど、こんな学校で子どもたちがいきいきと生活していたら、子どもたちに頼られる先生だってきっと幸せなことだと思うし、それ以上に今ある莫大な負担やストレスが軽減されているのではと思います。
僕たちのエビ工場はこんな考えややり方で効率も品質も上がり、離職率は減り、多くの人が働きたいと言ってくれるようになりました。工場長である私も以前よりやりがいが増し、従業員とは信頼しあえる関係になっています。人間本来のあり方を大切に考えた時、私たちの働き方を学校に取り入れることは、大きな効果を生むように思えてなりません。
(パプアニューギニア海産 武藤北斗)
エビのデザインも鮮やかな新工場
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