日本ケニア交友会(ケニア)


今年2月後半に「ケニア山の紅茶」の産地、メルー県ギドンゴ地区にあるギドンゴ製茶工場と紅茶農家さん数軒を訪問しました。そのころケニアでは、まだ新型コロナウイルスは確認されていない時期で、サバクトビバッタ(一種の大きなイナゴ)の異常大発生のほうが、身近で深刻な問題でした。ケニアの半砂漠地帯では、イナゴが畑や緑を食い尽くし、人々の食糧、放牧する家畜のエサを奪っていきました。ニュースで消毒液を噴霧する様子を見たとき、紅茶畑は大丈夫かと心配しました。が、製茶工場の茶畑担当マネージャー・ムズーリさんによると、私が訪問する数日前に上空をイナゴの群れが飛んで行ったのを見たが茶畑に上陸はしなかった、と話していました。ここの紅茶産地はケニア山のふもとで、標高が2000m 前後の山麓です。朝晩は冷え込むため、イナゴが好む環境ではなかったようです。
ケニアは、野生動物を観察する「サファリ」など観光業が有名ですが、農業国でもあり、実は世界一の紅茶輸出国です。国の外貨獲得の23%は、紅茶の輸出で占められています。ケニア産の紅茶の70%以上は、大規模農園(プランテーション)ではなく、小規模農家により生産されているのが特徴で、国内の紅茶農家は60万軒以上、紅茶産業に直接的・間接的にかかわる人の数は500万人以上といわれています。ケニアの農村部で、安定した収入をもたらしてくれているのが紅茶です。ですから、ケニア政府は紅茶を「重要な品目」として位置づけていて、新型コロナウイルスの世界的大流行のなかでも、生産現場ではこれまでどおりの活動 〜栽培、摘み取り、製茶、輸送、オークション、輸出〜 が続けられています(ケニアではほぼ年中毎日茶摘みをしていて、基本的に日曜日だけがお休みです)。紅茶農家や製茶工場スタッフをはじめ、紅茶産業に携わるすべての人たちは安全を確保し、衛生対策に取り組みながら日々動いています。
新型コロナウイルスの影響だけでなく、地球規模の気候変動やさまざまな環境の変化で、これまでどおりの紅茶栽培や製茶が難しくなっていくかもしれませんが、私たち日本ケニア交友会は、産地・製茶工場との連携を強め、また慎重な紅茶のテイスティングを通し、通年安定した品質の紅茶のなかでも、よりおいしい紅茶を買い付け続けていきます。紅茶販売の利益の一部と寄付金で行っている奨学金プログラムでは、今年は69名の貧しくとも優秀な、茶葉収穫地域の高校生の学費をサポートしています。毎年恒例8月の奨学生を集めてのセミナーは新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、収束したら、また産地訪問を再開する予定です。
ケニア山の紅茶農家さんや学生たちとつながっている「ケニア山の紅茶」です。“Anytime is Teatime 〜いつでもティータイム〜”を合言葉に、紅茶の時間をどうぞゆったり楽しんでください。
(日本ケニア交友会 富塚比咲子)
2020年『Life』410号

日本ケニア交友会
ケニア山の紅茶(リッチボディ・リーフ)
サラサラの細かい茶葉でしっかりとした味わい、
牛乳との相性がよく、ミルクティーや水出し紅茶にも。
日本ケニア交友会
ケニア山の紅茶(リッチボディ・ティーバッグ)
しっかりとした味が特長。
ティーバッグは100%土に還る素材を使用し
環境に配慮しています。