ねぇのごっつぉ(奈良県黒滝村)

奈良県吉野郡黒滝村は、桜の名所として有名な吉野山の南側、奈良県のほぼ中央にあります。土地の97%を森林が占め、河川沿いのわずかな平地や山麗斜面に民家が点在し、人口700人に満たない小さな村です。木立が高く空は小さく感じますが、空気や水が綺麗でとても静かな所です。
村の特産品である「黒滝白きゅうり」は、江戸時代から現在まで種を引き継ぎ栽培されてきたきゅうりで、全体が白色で通常のきゅうりと比べて太く短いのが特徴です。また、皮が薄くて、えぐみがなく、コリコリ感のある食感で、昔からお漬物(ひね漬け)にして親しまれてきました。
この黒滝白きゅうりが2012年に大和伝統野菜として認定されたことをきっかけに、村職員と村民が力を合わせて地域ブランド化と地域振興に取り組みはじめました。そんな動きの中で、2016年に「食と農の6次産業化プロジェクト」の一環として村在住の女性を募って「ねぇのごっつぉ」が立ち上がりました。最初に80代〜40代のメンバー6名と村職員、それに専門家を交えて半年間、話し合いや試行錯誤を繰り返す中から、昔から伝わる「ひね漬け」をベースにしながら新しいアレンジを施した「黒滝白きゅうりシリーズ」が誕生しました。そのひとつが、黒滝白きゅうりの綺麗な色を活かした「白たまり漬け」です。白たまりで爽やかな辛口に味つけし、奈良県産の柿酢でまろやかな酸味を加えました。関西では馴染みの少ない味ですが、お酒によく合うと好評です。
若い世代やお漬物の苦手な方にも受け入れられるようにと、アレンジされた「黒滝白きゅうりシリーズ」ですが、一方で聞こえてきたのが“白きゅうりは「ひね漬け」で食べるのが一番”との地元の声でした。村では夏のシーズンになると塩と糠で漬け込んで「ひね漬け(古漬け)」にし、焙じ茶で炊いた茶粥とともに食されてきました。この村に伝わる味も知っていただこうと、「ひね漬け」の商品化にもチャレンジしました。しっかりと漬け込まれてシンプルな味わいと歯ごたえの良さが魅力です。
「ねぇのごっつぉ」とは「ねぇちゃんの手料理、ごちそう」の意味で、黒滝では年上の女性を親しみを込め、名前のあとに「ねぇ(姉)」をつけて呼び、「奥さん」や「おばちゃん」ではなく「ねぇちゃん」と声をかける習慣があります。また、料理上手で各家庭には

お裾分け用のフードパックが常備されているほど、おもてなしの気持ちにあふれているのも村の自慢です。今は事務局も役場にあり、村の補助金での運営ですが、「ねぇのごっつぉ」として独立して法人化し、民間経営できることを目指しています。山間の小さな村で明るく元気な「ねぇ」たちの作る「ごっつぉ」をぜひご賞味ください。
(ねぇのごっつぉ 勝原幸子)

ねぇのごっつぉの皆さん

水がきれいな黒滝村
ねぇのごっつぉ
黒滝白きゅうり 白たまり漬け
大和伝統野菜の一つである黒滝白きゅうりのひね漬けを
白たまりと奈良県産の柿酢で漬け込みました。
ねぇのごっつぉ
黒滝白きゅうり ひね漬け
大和伝統野菜の一つ黒滝白きゅうりを塩と糠だけで
古漬けにしました。塩抜きして刻んでどうぞ。