無茶々園 (愛媛県西予市)その1
今年の宇和海は、真イワシ
今回は、愛媛県の西南部に位置する明浜町の美しい海で獲れたマイワシを紹介します。
いりこやちりめんじゃこ(しらす)になるイワシは、マイワシ(真イワシ)、カタクチイワシ、ウルメイワシの3種類あります。普段、私たちが網元祇園丸からお届けしているのは、カタクチイワシが中心です。しかし、この春先の愛媛県の宇和海はいつもとは違って、マイワシがよく獲れました。マイワシは大きくなると20cm 以上に成長するので正確にはマイワシの稚魚です。宇和海では最近はもっぱらカタクチイワシの漁ばかりでしたので、マイワシがこれほど揚がるのは珍しいそうで、祇園丸の佐藤哲三郎さんも「漁に出るようになって10年になるけどマイワシは初めてよ…」と言うほど。
カタクチイワシは春・秋を中心に年中産卵するので漁の期間も長くなります。対してマイワシの産卵時期は春先のみで、稚魚が獲れるのは春の漁に限られます。
見た目は、マイワシはカタクチよりも大きく、全体の色が少し銀色がかっています。そしてマイワシは成魚になると黒い斑点模様(ナナツボシ)が現れます。味の面でも、マイワシはカタクチイワシよりやわらかく甘みがあるのが特徴で、苦みがないため食べやすいです。
久々の、そして春にだけ漁のあるマイワシの稚魚。体長2~3cmほどの“大き目ちりめん”タイプでふっくらと柔らかい仕上がりです。そのまま食べるのはもちろん、佃煮や酢の物に。和えるだけでちりめんの旨味が効いてきます。愛媛県の宇和海で珍しく獲れたマイワシちりめんをこの機会にぜひ召し上がってみてください。
( 無茶々園 岩下紗矢香)