もろっこはうす(宮崎県諸塚村)
謙虚に自然と寄り添って生きる"森林文化”
ニホンミツバチの自然養蜂
諸塚(もろつか)の中高年の男性は、ほとんどが野生児です。子どもの頃から山や川でその日の食糧を獲って育った男たちにとって、ニホンミツバチの自然養蜂は当然心得ておくべきたしなみ。切り株などで手製の巣箱(ウト)を造り、山じゅうに据えて回ります。尾根沿いの大木の下、切り立った崖など、日当たりがよくてミツバチたちが見つけやすい場所を選びます。この時、ミツバチたちを誘い込むために、巣箱と周囲をきれいに掃除して、巣から精製した蜜蝋を箱の中にたらすのが大切です。
営巣を始めると、ミツバチたちは周囲の蜜源から花粉や樹液を運びます。レンゲが有名ですが、山には広いレンゲ畑がないので、代わりに広葉樹や照葉樹の森の中で、大小いろいろな花に群がって日中せっせと働いています。プーンという羽音は皆さんも聴いたことがあるでしょう。あの音が集まって、それは賑やかです。
夏は試練の季節です。長雨になると、ミツバチたちが餌を運べず、病気になって全滅する巣もあります。また、蜜や幼虫を狙って、天敵のスズメバチが襲ってくるようになります。ミツバチたちも応戦しますが、ここで諸塚の男たちの出番です。巣箱の出入口に網を張り、大型のスズメバチの侵入を防いで巣を守ります。また、守るだけでなく攻めます。巣を狙うスズメバチを独自の技術で追跡し、親蜂や幼虫を巣ごと生け捕りにして、調理して食べます。信じられないと思いますが、本当の話です。山で生きる人間の貴重なタンパク源として、古くから伝承されている食文化です。
さて、秋になると頃合いを見計らって採蜜を行ないます。煙で燻したり巣箱を叩いたりして蜂を巣から離し、何層もある巣を一枚一枚取り出します。ですが、全部は取り尽くしません。次世代のミツバチと、その越冬に必要な蜜を残すためです。
そして春が来て、茶摘みも近づく頃になると、巣分かれをして、男たちが用意した他の巣箱へと移っていく、…これがミツバチをめぐる季節のサイクルです。
一連の営みがよほど楽しいようで、諸塚の男たちは地元では飽き足らず、九州中に巣箱を据えているから驚きです。これを趣味と呼ばずして何と呼べばよいのか分かりませんが、互いに謙虚に自然と寄り添って生きる姿は、今も伝承される“森林文化”の象徴ですし、そこから生まれる蜂蜜はとても貴重なホンモノです。
「森の百花蜜」は、森に生きるミツバチと人間の物語が詰まったプライスレスな商品です。
(もろっこはうす 黒木雄介)
もろっこはうす 森の百花蜜
森の恵みの蜂蜜
希少なニホンミツバチの百花蜜です。複雑な味と深いコクが特徴。採取地:九州
もろっこはうす 諸塚村産 どんこ乾しいたけ
良質な原木で育てました
こだわりの原木から、椎茸栽培まで一貫した宮崎県諸塚村産の乾しいたけ。肉厚でジューシー。だし用にも使えます。