最上もち工房(山形県最上町)
雪解けを待ち収獲し、食卓に届けられるまでのたくさんの人がもたらす深い味わい
花も、鳥のさえずりも、暖かい南風も、農作業も一斉にやってくる雪国の春。
そして、昔は食卓に春を運ぶ子どもたちの大事な仕事が“ひろっことり”。残雪の中から黄色いあさつきの新芽を掘り起し、ほとんどが根っこで、その中から10cmほどの新芽の根切り、時には辛み成分のため目に涙をうるませ、手の凍える根気のいる大変な作業ではあるが、おいしい卵とじを思い出せばなんのその。もちろんその日の夕飯は“ひろっこの卵とじ”、胸いっぱい香を吸い込んでいただく、“うまい”の一言である。おなかを満足させてもらえるおかげで、根気強さと手先を鍛えられるように思います。
そして4月、日当たりの良い田んぼの畦畔に、ふきのとうが顔を出し始めます。当工房のふきのとう味噌のふきのとうは、大きさがビックリ。にぎりこぶしと同じくらいのもあり、山から熊たちと山分けをさせてもらって、最上町の伝承野菜・久五郎豆の味噌を使い、皆さんにお届けしています。ミネラルたっぷりですよ。
そして5月、全部雪も解け里は春本番、よもぎたちがかわいらしく芽を出します。2人で草もちを食べながらいろんなことに話が弾み、味覚には新たにもう一つあるのでは、と話になりました。
それは…ただおいしいだけでない心に刻まれた深い味わいをもたらす“深味”です。すべて自然のなかから与えてもらい、多くの人の思いが繋がり手元に届けられる、…涙が出ます。
今多くのものがあふれ、すぐ買える時代になり、触れる時間が短くなり過ぎ、その一つ一つをどれだけ感じ捉えられているのか? おなかも満たされ、そして、たくさんの人の心を深味でいっぱいにできたらと思う昨今です。
(最上もち工房 阿部早由里)
<最上もち工房>ふきのとう味噌
ほろ苦い春の味覚
地域の生産者の味噌と、阿部さんが採ったふきのとうで作りました。滋味あふれる味です。
ごはんや、風呂吹き大根にのせてどうぞ。
<最上もち工房>草もち
よもぎが薫る、大きめ草もち
よもぎ摘み、もち米の栽培、餡の煮炊きまですべて手作りの草もちです。
たっぷり入った小豆餡、薫り立つよもぎ、大福のようななめらかな餅。ボリューム満点の大きめサイズです。
この時期限定の味わいをどうぞ。