ホリ(香川県高松市)


「この仕事をしていてうれしい時はな、お客さまがおいしいと言ってくれた時だ」。これは、三代目見習い中の私がホリに入社してすぐに、創業者である祖父に「この仕事をしていて良かったと思った時は?」と聞いた時の答えです。
祖父はかつて遠洋漁業の漁労長で、海のプロとの自負から、船を降りて始めたのが冷凍魚介類を卸す仕事でした。香川県内の飲食店に天然で鮮度の良いえび、いか、ほたて、かになどを卸す事業として、今年で50年になります。
私は11年前、30歳で家業に入りました。前職は板前であった経験から、家業で取り扱っている魚介類の品質の高さに驚いたのを覚えています。天然と養殖、また産地や漁法、漁獲した時期による違い、さらに信頼できるメーカーのことなど、一つ一つの食材がとても奥が深く仕事がおもしろくなりました。
その後、2014年に自社ブランドManmaを立ち上げました。当時、祖父の死もあり、「ホリという会社は何の会社なのか」と自問自答を繰り返し、結論として「やっぱり自分たちが食べたいものを販売したい」という答えに至りました。直接、消費者に価値やこだわりを伝えたい、そして県内だけではなくもっとたくさんの方に食べていただきたいと考えました。Manmaとは、ありのまんま、そのまんま。イタリア語で「おかあさん」という意味です。より食卓が豊かになるようにフライ類の衣や調味料まで、原材料や製法などを吟味し、今の時代に合った商品を作っています。
また、この度創業50年を期に、新たに雑貨事業としてManma Goodsをスタートさせました。第一弾は、江戸時代から続く香川県の伝統工芸品、保多織のボディータオルです。たまたまの出会いから、その独特の技法や歴史を知り、そして一子相伝で受け継がれてきた保多織職人の人柄に惹かれ、さらになによりもストレスフリーの使い心地を実感するなかで、このコラボ企画は生まれました。
Manma Goodsの一つのテーマは「温故知新」です。現在のモノに溢れている豊かさとは少し違う、「古き良き、でも新しさもある」ものを紹介したいと考えました。もう一つは、伝統工芸や伝統食材、そして天然魚介類は、その希少性も含めて、いくら良いものでも理解してくれる人(お客さま)や継続していく人(後継者)がいないと消滅していくという共通する問題です。そのような伝統工芸や伝統食材の中で心から良いものだと感じるものを紹介し、残していきたいと思っています。
「自然体でシンプルなライフスタイルを提案し、健康に生きることを応援する」ことを通じてお客さまが笑顔になること。それが親子三代にわたって受け継がれてきた私たちの原点であり、ゴールです。
(ホリ 堀 弘道)


堀 弘道さん(左端)とスタッフのみなさん

豪華な有頭えびが主役!

使い心地の良さは逸品