食のかけはしカンパニー(沖縄県うるま市)


食のかけはしカンパニーは、たくさんの方のご協力によって8年前、私が38歳の時に立ち上げました。そもそもは、イスラム教徒向けのハラール食品の製造が事業の中心でした。食の戒律が厳しいイスラム教徒でも安心して食べられる食事を、海外でも評価の高い日本の素材を提供すれば、当時激増していたインバウンドをはじめ高いニーズがあるはず、と考えたのです。
しかし実際にはなかなか厳しく、残念ながら方針転換することになりました。しかし、創業時に掲げた「食に新しい価値と新しいニーズを生み出し続ける」という理念は沖縄素材でも生きるはず、ということで、沖縄をテーマにした加工品づくりが新たなミッションとなりました。もともと長野県出身の私が沖縄でできることを考えた時に、観光需要が旺盛な土地柄をしっかりと活かして、沖縄の素材や食文化を取り入れた加工品を製造していこうと考えたのです。そして、添加物をできるだけ使わず、他のメーカーと競合しないユニークな商品を作ることで、商品にオリジナルのアイデンティティーを持たせました。
ハラール食品の開発で積み重ねた、鶏肉や豆腐で加工品を作り出す技術は、脈々と今に受け継がれています。添加物を使わず長期熟成で作った看板商品の鶏ハムもその一つ。もともとハラール対応の鶏肉を探していた時に、出会った“種鶏”(ブロイラーの親鶏)を原材料に商品開発したのがきっかけです。
かつては手掛けられなかった豚肉の加工品にチャレンジして、最初に誕生したのが琉球ベーコン。県産の豚バラ肉を沖縄の伝統食“スーチカー(塩漬け豚肉)”にした後、さらに燻製にするというとても手間のかかる商品ですが、豚肉と塩だけで作る潔さと、塩で熟成された豚肉の赤身と脂身がたまらなくおいしい、とても思い入れの深い商品です。
沖縄には、まだまだ紹介したい素材や食文化があります。最近では、農家さんから加工のご相談をいただくことも増えてきました。ものづくりの技にもっと磨きをかけ、今まで以上に沖縄の素材や食文化と皆さんをつなぐ“かけはし”になれるよう、頑張っていきたいと思っています。今後の私たちのものづくりに、ぜひご期待ください!
(食のかけはしカンパニー 篠原辰明)


熟成した鶏の旨みを味わって

沖縄伝統の塩漬け豚肉を桜チップで燻製に

作業風景