丸新本家 (和歌山県湯浅町)
おかず味噌「金山寺味噌」を次世代に継いでいきたい
金山寺味噌はいわゆる舐め味噌の一種で、調味料ではなく、おかずとして食べる味噌です。夏野菜を冬に食べるための保存食で、瓜、茄子、シソ、生姜などの入った栄養満点・風味満点のお味噌です。金山寺味噌の原型は、鎌倉時代(1200年代)に宋(今の中国)に渡った法燈国師が「径山寺味噌」を日本(和歌山県由良町)に持ち帰り製法を伝えたという説が有力です。その味噌を醸造しているときに、しみ上がってくる上澄みが醤油の始まりで、近隣の湯浅地域も含めて風土や地質が醤油・味噌醸造に適しているということで、この地に根付いて親しまれてきました。
金山寺味噌は、米・麦・大豆麹に塩をした野菜を漬け込み、発酵・熟成させて作ります。少し前まで湯浅地域では各家庭で味噌・醤油を仕込むのは一般的で、金山寺味噌も同じように各家庭で作られてきました。それを、丸新本家の創業者である新古スミが商品として販売しはじめたのが135年前。スミの母が“金山寺味噌づくりの名人”と呼ばれていたことから、それを実家から分けてもらって販売を始めたところ、大変評判となったのが最初です。
私たち、丸新本家の金山寺味噌の特徴は次の通りです。
1. 色へのこだわり
きれいな澄んだ色に仕上がっているのは質のいい糀を使っているからです。
2. 原料へのこだわり
使われている原料は、全て厳選された国産のものを使用しています。
3. 野菜へのこだわり
特になすに関しては、金山寺味噌専用に栽培されてきた地元の 伝統野菜= 湯浅なすを農家さんの協力のもと復活させました。現在当店では全てこの湯浅なすを使用しております。
4. 具材の大きさへのこだわり
紀州の金山寺味噌は具が大きいのが特徴。それによって食べごたえもあり、野菜の甘み、旨みが楽しめます。また具が大きいと機械詰めができないので、1 つ1 つ手作業で容器詰めしています。
5. 合成保存料、着色料、人口甘味料など添加物は一切不使用
和食が世界的にも注目され、中でも発酵食品への関心が高まる中で、金山寺味噌は和歌山県の特産品としてだけでなく伝統的おかず味噌として、その良さが見直されてきています。私たちは、原料や製法にこだわり、本当においしい金山寺味噌を作り続けることで、伝統を次世代に継いでいきたいと思います。
(丸新本家 新古 敏朗)