倉橋島海産(広島県呉市)

今年7月6日〜7日にかけての西日本豪雨では、各地で甚大な被害が出て、多くの方々がお亡くなりになりました。改めまして、お見舞いとご冥福をお祈り申し上げます。私たち倉橋島海産では、2週間程度断水となり、工場が一部稼働できませんでしたが、幸い人的被害も工場の損壊などもありませんでした。
ただし、ちょうどこの時期はかきの採苗の時期でした。かきの養殖は7月〜8月にかけてかきの種(幼生)を採ります。ホタテの貝殻を筏につるして浮遊している種を採るのです。そうして採苗した種を1年間、干潟にある抑制棚という棚につるすことで、潮の干満で半日干して、半日海水に浸かる状態を繰り返し、強い種だけを残します。この種を使って今度は通し替えという作業(筏の10mくらいの針金に種板を吊るす)をおこない、計2〜3年かけて成育させていくのです。
このかき養殖の一番最初のところ、一番大事な採苗が豪雨に遭ってしまったのです。一時は、種が撹拌してしまい、振り出しに戻ったのではないかと浜では言われておりました。ところが幸いなことに1週間後から順調に採苗ができて一安心しました。広島県全体でも県の水産課に確認したところ、かき筏(いかだ)と抑制棚が数か所破損したが、全体としては大きな被害は出ていないとのことでした。
ただその後、私たちもすぐには気が付かなかったのですが、抑制棚に土砂が流れ込んだため、置いてあった種板が一部土砂に埋まっていることが判明しました。通常、棚を吊るすところは水深2mくらいの深さが必要なのですが、流れ込んだ土砂で1mくらいになってしまった場所もありました。たまった土砂の撤去作業は何とか年内には始める方向で調整中ですが、すべて終了するには来年4月以降まで持ち越される見通しです。今シーズンに生産するかきは、すでに筏を沖に出して吊るしているので、影響が出ることはありませんが、来シーズン以降の養殖作業の一部には影響が出てきそうです。
かきは、養殖といっても給餌もしないですし、海の上に筏を置いて種を海中につるしているだけですから、その時々の環境の変化に非常に左右されます。今年は猛暑で海水温も非常に高かったため、今後のかきのへい死(環境変化などで突然死んでしまうこと)も懸念されています。また、台風などの強い風と波によって、かきが海底に落下したり、ひどい場合には筏自体が壊れることもあります。今年は特に台風が多く、その都度、かき船や筏を避難したりしました。幸い大きな被害はありませんでしたが、それでも筏を固定するための幹線と呼ばれるワイヤーが切れたりしました。

今回の西日本豪雨災害だけでなく自然には勝てませんが、それでもできるだけ良いかきをお届けできるよう、今後とも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
(倉橋島海産 砂田真平)
2018年『life』490号

干潮時の制御棚

満潮時の制御棚
倉橋島海産
広島産加熱用生かき
広島湾で生かきの養殖から加工まで一貫生産している
倉橋島海産が目利きしたかきをお届け。