小池糀店(長野県木曽郡)


小池糀店のある木曽町福島は長野県の南西部にあり、西には御嶽山、東には駒ケ岳と山々に囲まれた標高700mの町です。隣接している木祖村は太平洋と日本海の分水界がある木曽川上流になります。造り酒屋が木曽郡内に4蔵もある、水がきれいなところです。そんな木曽福島の地で、1880年創業の小さな糀屋として「安心でおいしい」をテーマに日々頑張っています。
糀造りのこだわりは「木桶で蒸していること」「種付けは人の手で丁寧にやること」。今ではステンレスのなど釜が一般的ですがどうしても結露します。木桶は余分な水分を吸ってくれて結露を防ぎ、米が必要な水分は戻してくれます。木桶を使うことで均一でムラがない最高の状態に蒸し上げられるのです。その蒸米に糀菌をつける種付け作業は、人の手でやることですべてのお米に均一に菌をつけることができます。
機械を使って種付けするところもありますが、かき混ぜたり、転がしたり、揉んだり、人の手の複雑でしなやかな動きにかなうものはありません。こうして均一につけた菌がムラなく生育して上質な糀ができあがります。暑い部屋での手作業なので大変ですが、従業員みんなで明るく楽しく「元気な糀」ができるように頑張っています。
加えて、先祖代々糀室に住みついている糀菌や乳酸菌が、米を糀にする手伝いをしてくれます。小池糀店の糀室の一部は山の斜面に埋まっています。120年前にご先祖様が岩山を掘ったようです。岩の中なので湿っているし、暖かくて、温度も一定に保ちやすく、菌たちに最適な環境が保たれているのです。
良質な糀だからこそ甘酒や味噌、そして塩こうじ、醤油こうじ、すべての発酵食品がおいしくできあがります。たくさんの方々が食生活に糀を使っていただき、ますます元気に生活していただきたいです。私たちも糀パワー全開で今日も元気に頑張っています。
(小池糀店 唐沢裕之)
2021年『Life』60号


小池糀店
小池の米糀
福島県中村さんの減農薬米を使用し、
信州木曽の地で3日かけて仕込んだ糀。
手作り甘酒や塩糀にどうぞ。
小池糀店
木曽の手づくり甘酒
福島県産減農薬米使用。
3日かけて仕込んだ上質な糀が甘さと旨みの秘密です。
お好みの濃さに薄めてどうぞ。