桐島畑(高知県高岡郡)
花を咲かせ、種を残す野菜を作る
高知県西部、四万十川中流域にある「桐島畑」では20年ほど前から、農薬・化学肥料を使わずに、「ちゃんと種ができる野菜をつくる」をモットーに、年間70種類ほどの露地野菜を手がけています。本来の野菜は生命をつないでいくために花を咲かせ、種を残すという自然の営みをします。その過程で“食べられるとき”に、人間がおすそ分けしてもらっていると考えると、私たちも生命ある自然界の仲間として“共生”していくことは当然のことなのです。また、種がとれる野菜は生命力があり、それを食べることで、人間も生命力が出てくるのです。「桐島畑」は、そういう野菜をつくっていきたいと考えています。
2011年には、高知県の補助金も活用して、自前の出荷・加工施設が完成しました。野菜の栽培、加工、販売までを自分たちでおこなうことで、食べてくれる人たちと距離の近い関係をつくりたいと思っています。インターンシップの受け入れや、農のある暮らしをしたい移住希望の人たちとのかかわりも大切にし、現在は、Iターンで定住した若者から、地元のご婦人たちまで8人ほどのスタッフとともに「本当にいいものづくり」に励んでいます。
農を通じて人とつながり、未来への種をまくこと。それを次の世代、子どもたちへとつないでいけるよう育んでいきたい。そんな思いを胸に、四万十の地で日々精進です。
(桐島畑 桐島 正一)