福栄(鳥取県境港市)その4

スルメイカ(真イカ)はさまざまなイカの中で最も漁獲量が多く、2000年には約30万トン揚がっていました。ところが近年は減り続け、2017年度は約5万6千トン、昨年は約4万2千トンまで減りました。2年前に歴史的不漁と言われましたが昨年はそれを更新し、今年はさらに漁獲量が減ると予想されています。
要因としては日本近海の海水温の上昇、大きな産卵場所である東シナ海の水温低下により稚イカが育たないなどと専門家は指摘していますが、私はもっとも大きな要因は(違法操業を含む)外国船による乱獲だと思います。
外国船によるイカ漁獲は一昨年はその数14万トン、昨年はそれ以上とも言われています。境港のアジ・サバ・イワシなどを含めた1年間の総漁獲量は約11万トン(全国第5位)ですから、驚愕の数量です。そのうえ、日本の海域(排他的経済水域)に何百隻という船がイカを求めて違法に操業しています。その数があまりに多いため、海上保安庁と水産庁は取り締まりが追いつかない状況です。
スルメイカは回遊魚と言われ、海水温などにより大きな群れが日本の周りを夏場に向けて北上し、その後南下すると言われています。私たちが皆さまにお届けしているイカ商品は、自社所有船を含め日本の多くの船は一本一本イカを釣り上げています。しかし、イカが北上する途中で何百隻もの他国船に網で一網打尽に獲られてはたまったものじゃありません。結果、日本のイカの漁獲量は年々減少の一途で、イカ釣り漁船の数も年々減り続けています。解決策としては難しいでしょうが、国家間交渉しかないと私は思います。水産庁・国に期待しておりますが…。このままでは日本のイカ漁は衰退の一途です。
いっぽう、例年5月から7月末にかけて太平洋でおこなうアカイカ(ムラサキイカ)漁は、昨年並みに落ち着きました。本来ならばこのアカイカ漁の後は日本海側に移動し、スルメイカ漁のシーズンに突入します。しかし今年は日本海のスルメイカのサイズがまだ小さく、例年に比べ極端に漁獲も少ない、という状況でした。そこで、私の記憶にも無いことですが、8月からのスルメイカ漁を断念し、自社船「吉丸」を含めほとんどのイカ釣り漁船が太平洋へ向けて2航海目のアカイカ漁に向かいました。夏のアカイカ漁は漁場が遠く燃料費もかさむので、かなりリスクを伴います。幸い9月現在の漁の状況は、それなりに漁獲がある様子でホッとしています。しかし獲れなかった時のことを思うとゾッとします。

スルメイカに関しては10月以降から日本海で始まる予定です。好漁になることをただただ祈ってやみません。
(福栄 岩田謙二郎)
2019年『Life』430号

福栄
イカ切り身
ムラサキイカを使用、てんぷらや鉄板焼きなどいろんな
料理の具材に。使いやすいバラ凍結の少量規格。
福栄
吉丸のイカバジルソース
青森県産いかを大分県産バジルソースと合わせました。
自然解凍後、お好みの野菜と一緒に焼いたり、
パスタソースにどうぞ。目安2人前。要加熱。