平田産業(福岡県朝倉市)

朝倉オリーブオイルに使うオリーブの果実は福岡県朝倉市と、近隣のうきは市で収穫されています。両市とも農業が盛んな土地柄でしたが、近年は高齢化による耕作放棄地が広がり問題となっています。そこで私たちはオリーブオイルの原料としてのオリーブを栽培することで放棄地を少しでも減らし、さらには高齢者就労、雇用の創出へとつなげることで地域貢献をすることができると考え、2014年頃より国産オリーブオイル開発に取り組み始めました。この両市で育てられた樹木から収穫したオリーブ果実だけを使い、朝倉にある自社工場で搾油しているので、朝倉オリーブオイルと名付けました。
実際には、自社工場の隣の土地などを借り受け、オリーブの苗木を植えるところから始めました。ようやく一昨年秋に約10kgの製品化が実現し、昨年分は50kgと生産量も増え少量ながら販売できるようになりました。雇用の創出など、地域貢献はまだまだこれからの課題ですが、今後は市や地元企業と連携し、国産オリーブ事業の規模を広げていきたいと考えています。
多くの国内産のオリーブオイルは、オリーブ果実栽培をしている企業や農家が個々に搾油機械を購入し、自家栽培のオリーブ果実を独自に搾油しています。そこには、搾油方法や機械の維持、多額の初期投資、製品後の販売など、さまざまな問題が高いハードルになっています。それに対して私たちには、搾油機械も含めて食用油メーカーとして長年培ってきたノウハウ、安定的な生産システム、徹底した品質管理、そしてこだわり油メーカーならではの販売ルートがあり、そうした強みを活かして実現したのが朝倉オリーブオイルです。
オリーブオイルは、オリーブの実を収穫後にできるだけ早く搾油することがとても大切です。搾油が遅くなるほど品質が劣化し、オリーブオイルの品質指標の一つである「酸度」が上がってしまいます。その点、朝倉オリーブオイルはオリーブ畑(朝倉市と隣のうきは市)と搾油現場(朝倉市の自社工場)とが非常に近く、収穫後速やかに果実を搾油できるため、品質劣化の心配がなく、フレッシュな状態の果実の香りや風味をそのまま保てるのが特徴です。ジュースのようにサラッとしながらも、徐々にピリッと刺激的な辛味が口の中に広がります。サラダやパスタな

どにお使いいただくと、味のアクセントになり、素材がより引き立ちます。マイルドかつ辛味の効いたフレッシュなオリーブオイルをぜひお試しください。
(平田産業 青木勉)
2019年『life』210号

オリーブ収穫の様子
福岡県にある平田産業が地元、
朝倉市とその近郊で栽培、
収穫したオリーブで作ったオイルです。
平田産業
朝倉オリーブオイル