播磨海洋牧場(兵庫県姫路市)

私たちは水産が大好きなメンバーが集まり、「どうしたらおいしく」て、「どうしたら安心」で、「どうしたら水産が(水産で)元気になるのか」を追求している会社です。
私たちの経営理念は、「水産資源を大切に、そして“めっちゃおいしい”に取り組み、お互いの成長と豊かさにより社会、水産に貢献する」です。この中で「お互い」という言葉には多くの意味があり、水産資源と「めっちゃおいしい」、食べてくださる皆さまと私たち、途上国のコミュニティーと私たち、また、これらの組み合わせの中での「お互い」を指しています。
「どうしたらおいしく」について。魚や貝類、えび、かになどの生き物たちは捕まらないように、回避・逃避行動をします。当然捕まるとストレスを感じます。つまり、扱いが悪いなどの人為的影響や、水温・水質の変化や狭い空間に閉じ込められるなどの環境的影響により、ストレスがかかり、おいしさを損なう成分が体内に発生したり、場合によっては死んでしまいます。これらを理解・意識して水産物を取り扱うことが、漁業者や水産従事者には最も重要です。できるだけストレスがかからないように、活け〆、血抜、神経抜きをおこなうことで、おいしさと鮮度を保つことができるのです。
「どうしたら安心」について。漁業者と私たちは直接契約しています。契約に当たっては、魚を丁寧に扱う生産者であることを大切にしています。この直接取引により、誰がいつ、どこで漁獲し、どのような下処理・加工をしたのかが明確に分かる、完全トレーサビリティーを構築しています。漁業者も私たちがどのように加工、そして販売しているのかを知り、お互いに選んでいる関係です。この関係によって他にはない品質管理システムが実現できています。
「どうしたら水産が(水産で)元気になるのか」について。私たちの地元、播磨灘における小型底引の漁獲量は1980年をピークに漁獲量が2万トンから1万トンと半減しています。原因は、獲りすぎや水質などの環境変化によるものと言われています。一方、高齢化と後継者が少ない中で漁業者をはじめ水産関連従事者が減少する中で、水産や海洋に関する研究や開発に十分な予算がなく、水産業の産業力や技術力は世界的に見て後れをとっていると言わざるをえません。また旧態依然とした漁協ごとの漁業権など、やる気のある若い人たちにとって大きな障壁となるものも多く存在しています。
私たちは、日本の水産業が以前のように世界をリードすることを目指したいと考えています。例えば、地元播磨灘(瀬戸内海)で現在の漁獲量を2倍にすることは可能です。その実現に向けては、ぜひ、よつ葉の皆さんと協力していきたいと思います。

また私たちは日本国内だけでなく、昨年は東ティモールにおいて水産事業の可能性について調査を行いました。資源にやさしい漁法といわれている定置網漁をコミュニティーに定着させることで、貧困、コミュニティーの成長、水産資源の管理など、途上国の継続的な発展に寄与したいと考えています。
(播磨海洋牧場 向井昭博)
2019年『life』100号

播磨海洋牧場
徳用 播磨の殻付生かき(生食用)
生産者を特定できる播磨灘の牡蠣。
甘みが強いのが特徴。流水で5〜10分解凍してどうぞ。
播磨海洋牧場
播磨の沖ぼら切身
播磨灘の沖合で獲れたぼらを活け〆、血抜き、
神経抜きして切身にしました。塩焼きや唐揚げでどうぞ。