浜貞商店(兵庫県香美町)

兵庫県香美町では、2014年4月1日より全国ではじめての“魚を食べよう”という条例「香美町魚食の普及の促進に関する条例(通称『香美町とと条例』)」が施行されました。この条例は、魚食の普及と地域の活性化を目的に、毎年10月を魚食普及月間、毎月20日を「香美町魚(とと)の日」として制定されたものです。私は香住の水産加工業協同組合の理事であるので、町の基幹産業である水産業の衰退について町会議員などと話をしていたところ、「“日本酒で乾杯”条例が全国220〜230の市町村であるのなら、“魚を食べよう!”条例を作って元気にしよう」と盛り上がり、条例の原案作成から関わりました。
ただ、条例を作っただけでその後何もしなければダメだと思い、この条例を広く深く町民に広め啓蒙するためのボランティアとして「香美町とと活隊」を私が隊長となって立ち上げました。活動の中心となる隊員は、漁業者・水産関係者を中心に現在19名。それ以外に賛助隊員として約200名(団体)の登録があり、のぼり旗を立てたり、チラシの配布、ポスターの掲示など広く支えてもらっています。そして“魚を食べよう”という条例が珍しいこともあり、おかげさまで香美町とと活隊の活動はたくさんのメディアに取り上げていただいてきました。
この4年半、私たちは“魚を食べよう!”を合言葉に、力いっぱいいろんな活動を行ってきました。子育て・子育ち支援センターでは0〜4歳児とその親を対象にタッチングプールで魚と触れ合ったり、幼稚園や小・中・高校では料理教室や一夜干し作り体験などをしています。他にも「日本さかな検定」の会場を誘致したり、魚を題材にしたコンテストなど、魚に関心を持ってもらい、触れて、食べて、健康になるという企画・活動を行っています。そして、どの活動でも最初の10〜20分ぐらいは、必ず魚の生態、栄養、漁業や海の環境のこと、食のこと、また地元但馬・加美町の水産や産業のことなどの話をするようにしています。
2006年の水産白書で魚介類の摂取量が肉類を下回り、2011年の総務省・家計調査で一般家庭におけるパンの消費額がコメを上回りました。このように日本の食文化は大きく変化しています。しかし一方で2013年、ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録され、伝統的な食文化を大切にしようという動きは確かに存在します。そして、日本の社会・文化を支えてきた伝統的な食文化は、長い間培われてきた魚食の習慣が大いに関係していると思います。

私たちはこれからも“魚を食べよう!”を合言葉に活動を続けます。海に囲まれた国だから!
(香美町とと活隊 隊長 濱上栄作(浜貞商店))
2018年『life』370号

小学一年生のスルメイカの一夜干し作り体験

生きた魚に触れられるタッチングプール
浜貞商店
焼きにぎす
香住で水揚げされるニギスを素焼きにしました。
電子レンジで温めて食べてください。
浜貞商店
香住の干エテカレイ小
日本海香住産、浜貞商店の甘塩の一夜干しです。
縁側の骨まで食べられるサイズです。