行者菜生産グループ(山形県長井市)

「行者菜(ぎょうじゃな)」は希少な山菜として知られる行者にんにくとニラを交配してできた新しい野菜です。行者にんにく自体も栽培が行われていますが、収穫まで5年も要し、収穫期間も2週間ほどと、とても短かいため、手軽に入手することができません。その弱点を克服しようと、ニラと掛け合わせて生まれたのが、この行者菜です。
行者菜は、滋養強壮の基となる香気成分「硫化アリル」が行者にんにくよりも強く、ビタミンはニラを上回る良いとこ取りの新野菜です。また、ビタミンの一つである葉酸がニラに比べて2割も多く含まれているのも特筆に値する点です。葉酸は細胞の活性化に効果があり、妊婦さんの摂取が薦められている成分ですが、最近では認知症の予防にも役立つと言われ、私たちも盛んに食べています(その効果のほどはまだ未確認ですけれど)。
このスタミナ満点の新野菜=行者菜が山形県長井市にやってきて11年目を迎えました。産地化の中心を担ったのは、私も参加している地元のフォークソンググループ「影法師」のメンバーです。影法師は、地元で40年にわたって活動を続け、オリジナルソングでメッセージを発信するとともに、地元に伝わる在来野菜の復活など個性的な農産物を通した発信も積極的に行ってきました。
この在来野菜復活の活動を発表する機会が2006年に宇都宮大学であり、その懇親の席で行者菜の生みの親、藤重助教授(当時)から新しい作物、行者菜の話を持ちかけられたのが最初です。その後何度か宇都宮大学を訪れ、育成現場を見学するなどしました。帰りの東北道は、サンプルにもらった行者菜の強烈な香りが車に充満していたものです。そして、この強烈な香りに魅せられ地元で仲間を募り栽培に乗り出しました。「行者菜100人プロジェクト」を立ち上げ、現在生産者数は43人。その半数は、もともと農家ではない人たちです。
行者菜は行者にんにくとニラの特性を併せ持つので、ギョウザや炒めものなどの中華料理が特にオススメですが、さらに、ピザ、グラタン、和食まで幅広くお使いいただけます。特に香りの強い株元を薬味として生のままお使いいただけば、その魅力を存分に引き出すことができます。また、強烈な香りが病害虫を寄せ付けないので、無農薬で栽培することができるのも特徴です。

昨年秋のよつ葉の交流会での縁で、今年、よつ葉の皆さんにも行者菜をお届けすることができるようになりました。これを機にぜひ、「行者菜パワー」を体感してください。
(行者菜生産グループ 遠藤 孝太郎)
2018年『life』220号
行者菜生産グループ
昨年秋の“よつ葉交流会”での
「影法師」の演奏(遠藤さんは右端)
山形・行者菜生産グループ
山形の行者菜
行者ニンニクとニラの特性を合わせ持ち、
香り・栄養価共にニラよりも高い。
株元の部分は薬味にぴったり。