今年の北海道の稲の生育は、今のところ順調である。北海道も近年、温暖化の影響が少しずつ出てきて7月頃までは平年より高めで推移していたが、今年は8月からはこの時期らしい天候が続き雨もほどほどに降り、気温も平年並み。だが、いまいち良い天気が続かない。乾き始めた田んぼに雨が降ると、例えて言えば稲が若返りして生育が進まず、2次成長になりかねない。黄金色も遅れてくる。青米が増えて稲も刈りずらくなる。…そんな心配をしていたら、9月に台風18号が北海道を直撃した。道内各地で大きな被害をもたらしたが、幸い新篠津は被害を免れ、風で稲が揺すられた分、少し刈り入れが遅れるぐらいですみそうでホッとしている。このまま行けば、まずまずの作柄で期待はできそうだがまだわからない。なんせ天候まかせの商売だからままならない。
新篠津周辺の現在の状況を言うと、遅れていたこの地域の区画整備事業が、やっとあと1~2年で完了にこぎつけた。ここ10数年続いてきた離農・人口減少がだいたい落ち着き、次世代にこの農地を引き継ぐためにも、地域として生産性を高めようと圃場整備に取り組んできた。というのもこの間、営農規模が拡大して、この辺りでは1軒当たり40~60町ぐらいになっている。そうすると田んぼ1 枚あたりの面積が1.5~2町ぐらい、少なくとも5~7反ぐらいにしないと効率良く農業できない。現在はブルドーザーが入って整地をしているところで、この後は地下の水位を下げて水田を乾かすように明渠・暗渠と作業を進め、最後にコメの食味向上に向けて客土(新しい土を入れる)をして完了である。天候が良く作業工程が順調にいけば秋には終わるが遅れてくると来春に客土を入れることになる。この辺の地区全体が工事区域になっていて、作業後の作付けが農家や圃場によって異なるので、作業する圃場の順番を決めたり、重機の手配など、なかなか思い通りにはいかない。来年度の事業予算で終わらさなければならないのだが農家それぞれの思惑もあり、事業全体を見渡して無事終了に向けて四苦八苦しているのが現状だ。早く終わらせて生産向上させていきたいのは皆同じ。ここまで進めてきたのだから最後は穏やかに収束してほしいものです。
圃場整備をして客土を入れると、生産力が上がり収穫量が増えるのは良いのだが、窒素過多になりがちで食味が落ちてしまう。特に有機でやっている圃場がそうで、日照などの気候の関係なのか、北海道では本州に比べて窒素分が最後まで効きやすい(抜けにくい)傾向がある。その辺りに気をつけて、これから生産向上に力を入れ、消費者に喜んでもらえるおいしい食べものを提供していきたい。無農薬米に豆乳用の無農薬大豆、そして低農薬の米・大豆等の生産に意欲を燃やしメンバーそして家族揃って頑張って作り、北の大地から送り届けていきたい。
( グリーンピュアクラブ 岡村 春美)
2017年『life』430号
Copyright © 関西よつ葉連絡会 2005 All Rights Reserved.