もともとお酒好きな私は、ラム酒の原料がサトウキビであることを知り、「南大東島には良質なサトウキビはあるけど地酒はない。これはチャンスだ! 南大東島産のサトウキビでラム酒を造ろう!」と思い立ちました。
沖縄のお酒には「泡盛」があります。原料は輸入タイ米が主流です。それと違って、輸入に頼らず100%地元のサトウキビを原料にできるラム酒は大きな魅力です。そしてラム酒は世界中で飲まれているお酒であることから世界中をマーケットにすることができる、と考えたわけです。
しかし、私は酒造りの経験もなければ、会社経営の経験もなく、さらに南大東島出身でもないため、ラム酒製造会社の設立は困難を極めました。何度もくじけそうになりましたが、何もない私を見かねて手を差し伸べてくださった南大東島の方々と、家族の支え、そして社長として未熟すぎて頼りない私を支えて、ついてきてくれたスタッフのおかげで、事業計画から4年の時を経て、コルコルは産声をあげることができました。
ラム酒の蒸溜所の多くは、フランス系植民地であったカリブ海周辺地域に集中しています。世界中で約4万銘柄も存在するラム酒は、「モヒート」などに代表されるカクテルでの飲用が主体です。そしてその多くは、カクテルベースとしての開発の過程で各種フレーバーの添加や樽で貯蔵して色づけが行われてきました。
それに対してコルコルは、サトウキビ本来の個性をひきたたせるべく、無添加・無着色。酒質をごまかすことはできないので、その原料は安全・安心な高い品質のものを厳選し、蒸溜技術に真心をたっぷりと添加して造っています。
コルコル(赤)は、製糖の際に生じる糖蜜を発酵させて蒸溜して作ります。世界中のラム酒の97% がこの製法で造られています。そして、コルコル・アグリコール(緑)は、「サトウキビ搾り汁」そのものを発酵させて蒸溜するラム酒です。世界中のラム酒の僅か3% のシェアにすぎず、希少性の高いラム酒です。
サトウキビの収穫時期に合わせて造るため、製造は1年に1度だけ、製造量も全部で12,000本と少量生産です。いずれも個性的なラム酒で、唯一無二のテイストをお楽しみいただけます。最近は国産ラム酒・個性派ラム酒として評価が高まり、少しずつ海外輸出も増えてきました。創業14年と、まだまだ歴史の浅いグレイス・ラムですが、創業の精神を忘れず、真心込めてラム酒を造り、皆さまの楽しい安らぎのひとときをコルコルがお伴できるよう日々精進致します。
(グレイス・ラム 金城 祐子)
2017年『life』350号
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