ギデオンは、三陸・釜石のリアス海藻店、徳島・鳴門の大岸水産の良質のわかめを選別・袋詰めをして皆さんにお届けしています。今回は、東日本大震災や海水温の上昇も含め、変化してきているわかめの状況についてお知らせします。
■ 三陸わかめ
「三陸わかめ」は生産量で日本全体の4割以上、品質でも日本一と評価されてきました。東日本大震災で壊滅的な被害を受けましたが、沿岸漁師にとってわかめは最も早く操業できるものとして復活、比較的順調に推移してきました。しかし実は、その生産量は残念ながら年々減少傾向にあります。震災前には約2万トンあったものが、2017年度は約1万5千トン。ピーク時には4万トンを超えていたことから見れば、3分の1近くに減っています。その最大の原因は高齢化です。三陸わかめに限ったことではありませんが、高齢の漁師さんが引退していく一方、新たな漁師のなり手がいないのです。
もう一つ、海の状況が変わってきていることも気になります。ここ数年、ホタテやアワビ、ウニなどの生育が悪い状況です。調べてみると海水温の上昇のためか、海底の海藻や微生物などが減っていて、これらを食べる貝や魚が減少しているのだそうです。今のところ、わかめの生育自体は順調なのですが、今後の懸念材料ではあります。
■ 鳴門わかめ
高品質のわかめとして全国的に有名な「鳴門わかめ」はこれまで心無い二次加工業者による産地偽装(中国産・韓国産を鳴門産と偽ったり、混ぜたり)が幾度となく問題になってきました。最近ではさすがにそうしたことは無くなっていますが、信用を失って価格の下落を引き起こしたり、真面目な生産者の意欲を削ぐことになったりしています。
さらにこの間の海水温の上昇によって、鳴門わかめの状況はより厳しくなっています。例えば大岸水産がある徳島県鳴門市の粟田漁港の沖合は、昔は魚も豊富に捕れる海域でしたが、魚の餌となるプランクトンが少なくなって魚漁はほとんどなくなり、漁師さんたちはわかめ専門に変わってきています。そしてわかめ自身も、海水温やプランクトンなどの海水の栄養不足などから生育が悪く、“海がやせてる”と感じざるを得ません。
以上のような状況の中でも、わかめ生産者(リアス海藻店、大岸水産)は毎年試行錯誤を繰り返しながら、良質なわかめをお届けできるように頑張っています。私たちギデオンも、生産者と共に品質にこだわった本当においしいわかめをお届けすることで、三陸そして鳴門わかめの価値を高め、漁師さんや加工業者がわかめを生産し続けられる環境を守っていきたいと思います。
( ギデオン 山田 豊嗣)
2017年『life』250号
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