遠忠食品(東京都中央区) その3

遠忠食品では、国産味付ザーサイ、国産山くらげたまり漬と、中華惣菜の原材料を国産に切り替えて商品化し、おかげさまで皆さまからの評判も良く、少しずつ生産量も増やしてきました。次はメンマだと考え、国産のメンマ原料を探していました。
通常メンマは、竹の中でも「麻竹」という品種を使うことが多く、輸入ものがほとんどです。従来は、その多くが台湾で生産されていましたが、価格などの影響で現在は中国産が主流になっていて、中国産も人件費の高騰などで価格が上がってきています。一方、日本では、竹は建築や日用品など、昔から身近な資材として生活に利用されてきました。しかし、安価な輸入品の増加や、プラスチックなどに取って代わられる中で需要は激減。放置された竹林対策が課題とされてきました。
九州や愛媛県などの山間部では、タケノコを茹でて乾燥させて保存する食文化があります。この干しタケノコを使って、国産メンマが作れないかと考えました。
今回開発した国産味付メンマは、愛媛県の竹林で栽培されている「孟宗竹」を使ったものです。孟宗竹は麻竹に較べて薄く柔らかく、コリコリ、シャキシャキとした食感と甘い香りが特徴です。収穫してから輪切りにして茹でて、乾燥して保存。それを湯戻してカットしたものを、届けてもらっています。それにいろいろ手間をかけて味付けして最終商品にするのが私たちの仕事です。素材の味を活かすために、シンプルな食べやすい味付けにしました。もちろん化学調味料・添加物は排除し、できる限り国内の原料で作った調味料を使用しました。胡麻油も、江戸時代から伝わる玉締め絞りで製造された優しい味がする油を使用しています。中国産の味付メンマはどこにでもありますが、国産原料で無添加のものはたいへん珍しく、他にはない商品ができたと自負しています。
たまたまですが、今回、ちょうど試作ができたところで、タイミング良く大阪で5月のよつ葉の生産者交流会があり、職員の皆さんに試食してもらって、ご意見をいただきました。そんなこともあり、この国産味付メンマは、一番最初によつ葉さんで販売させていただくことになりました。
一次産業の生産者が高齢化し、廃業・耕作放棄地が増える中、生産者と共に成長できる商品開発ができたことは、たいへん嬉しいことです。味付メンマを販売することで、竹林整備による森林環境の改善、生食用または加工用たけのこ生産量の拡大、地域の

雇用の拡大に役に立てればと考えております。また、輸入原料から国産原料に少しでもシフトできるような商品作りを進めることで、消費者の皆さんと共に、食料自給率の上昇につなげていくことができればと思っております。
(遠忠食品 宮島 一晃)
2018年『life』360号

結構大きくなったタケノコを切り出し、

適当な大きさにカットして茹であげます。
遠忠食品
国産味付メンマ
愛媛県産の味付けメンマ。
ラーメンのトッピング、ごはんのおかず、
おつまみにどうぞ。
遠忠食品
味付国産ザーサイ
国内産のザーサイを使いシンプルな
味付けで仕込みました。
歯応えが良く、後をひくおいしさ。