クロスロード(大阪府泉南市)

「クロスロード」は大阪の南端、関西国際空港や淡路島が見渡せる海沿いの町、泉南市樽井地区の古い商店街の一角にあります。私が20年間のサラリーマン生活にピリオドを打ち、この地に焼菓子工場を構えたのは2008年の初夏、海水浴で浜辺が賑わい始めた頃でした。職種は異なりますが、小さい時から商売を生業にしている両親の背中を見て育った私にとって、それは憧れであり自然の流れでもありました。
クロスロードという名前の由来は、CROSS-ROAD、つまり多くの人が行きかう交差点のような役目を果たす会社になりたいと思ったからです。現在従業員は私を含め7名。近くに住む主婦の方々を中心に、夏も暑さに負けず日々クッキー、ワッフル、グラノーラなどの焼菓子を作り続けています。
私たちのモットーは、とにかく原材料にこだわって市場にないおいしい焼菓子を提供することです。その意味でも国産と有機栽培で作られた食材は、商品開発に欠かすことのできない重要なファクターのひとつになっています。
設立当初は、仕事欲しさに求められるままに舌先で味付けをしただけの安っぽい商品ばかり作っていましたが、評判が良くない。一生懸命作っているのになぜだろうと、自問自答の日々でした。そこで一度原点に戻って自分自身に問い直し、私自身の20年間のサラリーマン生活での経験(オーガニックやフェアトレード関連の食品事業に携わってきたこと)を生かそうと決めました。そして、その時に体験した「自然の中で伸び伸びと育っていた有機栽培の穀物や果物」と「やせ細った土地に所狭く植えられていた野鳥や虫が存在しない広大な果物群」の光景を思い起こし、食の安全を少しでも実践する事が私たちにできる最低限の役目でもあると改めて気づいたのです。
今回お届けする「ビオクロスクッキー」の商品開発は苦難の連続でした。原料を選定するにあたり、できる限り有機栽培にこだわり、次に遺伝子組み換え食材も当然排除しました。さらに、ビーガンの方など多くの人にも食べていただけるように、バター、卵、牛乳などの動物性原料も一切使わずに取り組みました。ところが動物性原料を使っていないので生地が結着しなかったり、型取りのために生地を伸ばすと油脂分がはみ出したりしました。試行錯誤を数カ月間繰り返してやっとでき上がったのが昔ながらの懐かしいサクサクとした食感のビオクロスクッキーです。

ビオクロスクッキーのビオ(Bio)は有機農法のヨーロッパでの呼び名です。それにクロスロードのクロス(Cross)の文字を掛け合わせています。有機が交差するクッキー、すなわちできるだけ有機栽培の原料にこだわって作られた安心安全なクッキーという意味を込めています。
(クロスロード 道窪祐一)
2018年『life』380号

型抜きしたクッキーを天板に並べて

クロスロードの皆さん
クロスロード
ビオクロスクッキー(チアシード&キヌア)
有機のブラックチアシード、キヌアを練りこみました。
ごまのような香ばしい風味。
クロスロード
ビオクロスクッキー(ココア&カカオニブ)
有機のココアパウダー、カカオニブを練りこみました。
カカオのコクある風味。