“良い製品は良い原料から”をモットーに、私たちアルプスは、50年以上前に長野県中央部の松本平エリアの約400軒の農家を組織して「アルプス出荷組合」を結成しました。当時、生食用のぶどう農家がほとんどでしたので、ワイン・ジュース用の原料ぶどう(コンコード種、ナイアガラ種)を普及させたいと考えてのことです。コンコード種、ナイアガラ種は松本平の環境に最適で、消毒回数も少なく、生食用と比べて手がかかりません。当時のぶどう栽培はアルプスが無償で苗を支給し、栽培方法も指導するなど、普及に努めました。そして長年にわたり生産農家との関係を密に保つことで最高の原料を確保すると共に、安全面でも農家に要望をだし、肥料は絞り粕を畑に戻したり、消毒も必要最低限に抑えるようにしてきました。またかつて1990年の果汁輸入自由化のおりには、原料果汁が半値になり廃業しようとする農家と粘り強く交渉を続け、よりよい製品を製造することで原料価格を維持したこともありました。こうした関係があって、契約農家も減ることなく現在に至っております。
製造工程では、契約農家がせっかく作った高品質の原料果実を無駄にすることがないよう、最新設備と技術により、質の高い製品を製造しています。
ワイン製造では「美味しくて安全な食品を」というポリシーから、不可欠とされる酸化防止剤「亜硫酸」の添加量を長年にわたって減らしてきました。そうしてついに、酸化防止剤「無添加ワイン」の製造に成功し、今では有機無添加ワインの製造も手がけています。
またジュースは、通常「果汁100%」と表示されていても、一度濃縮して保存された果汁を水で還した「濃縮果汁還元」である場合がほとんどですが、アルプスのジュースは搾った果汁を原液のまま保存してパックしたストレートジュースです。だから、「濃縮果汁還元」では味わえない、搾りたての風味や味わいが楽しめるのです。
残念ながら湿度の高い日本では、完全に無農薬で果実を栽培することは事実上不可能です。そこで私たちは、1991年にアメリカ・ワシントン州ヤキマバレーにおいてオーガニックの果実を栽培している農場と契約を結び原料を輸入を始めました。また1999年からはスペイン・カタルーニャ州のオレンジの有機原料も輸入しています。これらの有機原料は原地で搾汁しストレート果汁のまま冷凍して輸入、日本でオーガニックのストレートジュースとオーガニックワインとして製造しています。
また2008年には農業法人『アルプスファーム』を設立しました。初めはワイン品種の試験農場としてスタートしたのですが、一方で今後ぶどう栽培農家が高齢化などで減少傾向になることを見越してのことです。まだ自社栽培の割合は、アルプスの製造量全体から見れば10% 未満ですが、徐々に長野県内の耕作放棄地をぶどう園に転換するなどして農地を増やし、今後急速に増えるであろう日本国内のワイン需要に対応すべく高品質な原料ぶどうを自社栽培していきたいと夢を持っています。
(アルプス 鈴木 直人)
2017年『life』440号
Copyright © 関西よつ葉連絡会 2005 All Rights Reserved.