鳥志商店


鳥志商店のある、うきは市は福岡県南部に位置し、北に筑後川、南に耳納連山にはさまれた筑後平野にあり、古くから穀物や果物の産地として有名です。私たちは、この地で約100年前の1918年に穀物問屋として創業し、1930年ごろからそうめんの麺機の普及とともに麺づくりをスタートしました。その後、そうめんからあんかけやきそば、博多ラーメンと製造する物を変えてきました。さらに、お客様から原材料についての問い合わせが増えてきたこともあり、1996年に化学調味料・合成保存料・合成着色料・かんすい不使用の袋入ラーメンを開発し、改良を重ねながら今に至っています。
鳥志商店のなによりの特徴は、昔ながらの製法で生麺を切って、まるでそうめんを作るように干して麺をつくるところにあります。原材料には北海道産と九州産をブレンドした良質な小麦粉、食塩は沖縄のシママースを使用し、日本名水100選にも選ばれたことのある浮羽地方のおいしい地下水で練り上げ、職人が麺の状態と天候を見比べ、温度と湿度を調整しながら3日間(約60時間)かけてじっくりと熟成乾燥させています。こうして熟成された麺は、「鳥志掛け」という意匠登録されたオリジナルの形状をしています。麺の乾燥具合を確認しながら、ひとつひとつ干し台からはずしていき、小麦本来の香り・旨味・コシのある麺に仕上がります。この乾燥の工程では季節によって乾燥具合が変わり、またその日の天気等にも左右されるので調整にとても苦労します。このように昔ながらの製法で手間ひまかけて作られる麺は、1日の生産数に限りがありますが、なにより、おいしさと品質を追求し、安心して召し上がっていただける商品づくりに日々努めています。
こうして製造した麺に合わせるスープも化学調味料・合成保存料・合成着色料不使用です。開発した当初は、無添加のラーメンというものはなく、ただ化学調味料等を使用しないで作ったら、おせじにもおいしいといえるスープではなく、とても食べられるものではありませんでした。原材料を考えながら少しづつ試行錯誤を重ねて、ようやく満足がいく商品になりました。それからも年々改良を重ね、今の博多中華そばになっています。麺とのバランスを考えながらよりおいしく食べていただけるように、またなるべく体に優しく、スープまで飲み干せるようなラーメンになるように作っています。
少しでも体に優しいものを望まれる方々においしく食べていただきたいという想いのもと、製造方法・原材料・味にこだわった鳥志商店の博多中華そばシリーズを、これからもお届けし続けたいと思います。

(鳥志商店 鳥越久義)
2022年『Life』80号

鳥志商店
久留米が一番
とんこつラーメン発祥地久留米名店の味を再現。とんこつスープに昆布や本醸造清酒で甘味とコクをプラス。
鳥志商店
博多中華そば復刻版しょうゆ
戦前の博多ラーメンの澄み切ったしょうゆ味を追求した鴨とネギ主体の深みのある味わい。ゆで時間約2分。