大石農園


つしま大石農園は、長崎県にある国境の離島、対馬で「対馬紅茶」をはじめとしたお茶の栽培をしている、家族経営+α、計6名の小さな農場です。長崎県の農業指導員をしていた代表の大石孝儀が、退職後に地元対馬に帰って新しい産業を興したいと2007年に茶樹の栽培を始め、今に至ります。対馬は島の面積の約9割が山林の山がちな島で、平地がほとんどなく、近年はシカやイノシシの生息数が増加し、獣害も発生しています。そんな対馬で栽培できる作物として選んだのが、斜面で栽培でき、食害にあいにくい茶樹でした。
栽培品種には、病気に強く、島の風土にも合った、当時花粉症に効果があると注目されていた日本産の紅茶用品種「べにふうき」を選びました。初めて摘んだ茶葉で紅茶を作り、紅茶の専門家に飲んでいただいたところ「国産紅茶の中で5本の指に入るのではないか」と高い評価をいただき、以来、この対馬紅茶を中心に製造しています。
当園の茶畑は上県(対馬北部)で霊峰として祀られている御岳山麓にあり、国内希少野生植物種であるツシマヤマネコが暮らす豊かな自然がお茶づくりを助けてくれます。茶畑を開墾した当時は環境の激変で茶樹の害虫であるカイガラムシが大発生し、このままでは全滅してしまうのではないかと心配しました。しかし周辺の山から害虫を餌にするクモやカマキリなどの益虫がやってきて生態系のバランスが取れた結果、2〜3年で害虫たちの数が減り、青々とした茶畑になりました。他の作物では厄介者になりがちなシカも、苦いお茶の葉は好まず、下草を食べてくれるので「天然の草刈り機」になってくれます。
紅茶の作り方は今も試行錯誤の繰り返しです。現在は優しく丁寧に揉むことで、華やかな香りのお茶に仕上げています。ほのかな甘さがあり、お砂糖なしのストレートでも美味しくお飲みいただけます。ここ数年は国産紅茶のコンテストで高い評価をいただけるようになってきました。これからも質の高い国産紅茶をお届けすることが目標です。
対馬紅茶は三煎目程度まで美味しくお飲みいただけますが、カフェインが気になる方は二煎目以降や水出しがおすすめです。また、紅茶に含まれるテアフラビンという成分はインフルエンザ等の感染症予防に効果的だと言われています。
健康維持やリラックスタイムに、島の豊かな自然が育んだ対馬紅茶のある暮らしはいかがでしょうか? 対馬に移り住んできたデザイナーさんと作った可愛らしいツシマヤマネコのパッケージも是非、ご覧ください。
(つしま大石農園 坂口みろ)
2021年『Life』140号

大石さん親子

大石農園
対馬紅茶(べにふうき・リーフ)
長崎県対馬の自然豊かな山間部で育てた「べにふうき」を使用。ほのかな甘みと花のような香り。
大石農園
対馬紅茶(べにふうき ティーバッグ)
長崎・対馬で無農薬で栽培した茶で紅茶にしました。しっかりとした味わいと花のような香りが特徴です。