
2016年
『life220号』
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株式会社四万十ドラマは、1994年に四万十川流域町村(旧大正町・十和村・ 西土佐村)の出資により第3セクターとしてスタートした地域商社です。
コンセプトは「ローカル」、「ローテク」、「ローインパクト」の3つ。「ローカル」とは、四万十川を共有財産に足元の豊かさや生き方を考えること、「ローテク」とは、地元の素材や技術、知恵を活かした第1〜1.5 次産業にこだわること、「ローインパクト」とは、四万十川に負荷をかけずに活用する仕組みを作ることです。これらのコンセプトを基本に、私たちは自然環境を保全しつつ活用すること、そして四万十川に負担をかけないものづくりを行ってきました。 2005年には第三セクターから、地域住民が株主の株式会社として、より地域住民に根ざした経営体制とし、2007年からは指定管理事業者として道の駅「四万十とおわ」の運営を担ってきました。その間、「地栗渋皮煮」「ひのき風呂」「緑茶」など、 この地域ならではの商品開発と販売に取り組んできました。
そして現在、最も注力しているのが“しまんと地栗”を使った商品です。一般的な栗のサイズは平均20gですが、“しまんと地栗”は平均25gと2割ほど大きく、蒸すと糖度が20度近くにもなり、メロンやイチゴよりも甘い栗です。この“しまんと地栗”の甘みを活かしてペーストを作ると加糖率(砂糖の含有率)が3割で、通常の栗ペーストの加糖率(約5割)に較べて大幅に砂糖の量を抑えることができ、栗本来の自然な甘さを活かしたペーストに仕上げることができます。そのペーストを贅沢に使ったのが「しまんと地栗モンブラン」です。通常のモンブランとは異なり、中にスポンジ生地やブランデー、香料などは一切使用しておらず、“しまんと地栗”ペーストと無糖の生クリームのみを使用し、素材の味を引き出した商品です。おかげさまで、風味の良さが評判を呼び、今では人気商品の1 つになりました。
ところが問題は、肝心の“しまんと地栗”が不足していることです。四万十町は、かつて年間500トンもの栗を生産していましたが、近年では後継者不足等の問題により生産量が年間30トンまで落ち込んでしまいました。そこで私たちは、四万十の栗の再産地化を目指し、5 年前より「栗の植樹10,000本プロジェクト」を立ち上げ、生産者・JA・加工会社と連携し、20ヘクタールの土地に5年かけて1 万本の栗の植樹を行いました。さらには、栗農家の育成と農家収入の安定につながることを目指して、四万十川中流域の恵みを最大限に引き出す独自
の剪定技術を広めるなど、より大粒で、より糖度の高い「しまんと地栗」づくりに取り組んでいます。
(四万十ドラマ 畦地 履正)
“しまんと地栗”をたっぷり使った絶品アイス |
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四万十栗のペーストをたっ
ぷり使ったコクのある栗ア
イスです。 |
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三産地の栗を食べ比べ |
四万十、山鹿、丹波のそれぞれの栗を使った食べ比べモンブラン。味、香りの違いを楽しめます。 |
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