生産者と消費者が互いに
 思い合い、心が通じ合える
“春巻の皮”を目指して  

三立食品

(東京都葛飾区)

 




海・島・里からの便り
2015年
『life480号』

 三立食品は、春巻の皮だけを専門に製造している下町の小さな会社です。元々は“岩手県の遠野に牧場を作ろう”という夢を抱いた者たちが集まって作った会社でしたが、知り合いの中国の人から製造方法を教わったことをきっかけに春巻きの皮を作るようになりました。本来、春巻の皮は餃子の皮と違って、高温で生地を一度半生に焼いて作るのですが、私たちが製造を始めた約40年前はそうした本格的な春巻きの皮はまだまだ少ない状況でした。
 そんな中、ある所から東北の農業を守る一環として地粉と塩だけで無添加の春巻の皮を作って欲しいとの依頼がありました。会社としての東北への思いや、私自身、青年時代に援農活動と農業を自ら行いながら、農地取り上げに反対する運動に参加していた事もあり、これは何とか応えたいと思って商品開発を始めました。  


梅村さん兄弟。右が治郎さん

 しかし、無添加での春巻の皮の製造は悪戦苦闘の連続でした。通常、春巻の皮を工場の製造ラインで作るためには、乳化剤等の添加物を使わないと焼きの工程で反ってしまって均一に焼けません。加えて地粉は吸水率やグルテンの含有量がバラツキがあって一定しません。そこで小麦については、岩手の地粉に北海道産の粉も加えることで品質安定を図りました。製造技術的には、バッター液(原料液)を低温で熟成・管理し、機械設備も細かく手を加えて工夫を凝らし、そして日々、工程ごとのデータを蓄積することで、安定した内麦無添加の『春巻きの皮(みちのく)』を製造できるようになりました。ここまで来るのに数年間、ある時は1枚も焼けなかったこともありました。
 このように、見た目は何の変哲もない春巻きの皮ですが、わずか厚さ0.5mmの皮の中に製造ノウハウが凝縮されています。“揚げ上がりがパリパリとしたうす氷を割る食感”を何よりも大切にし、焼きがしっかりしているので賞味期限が25日間と長く、しかも、1枚1枚剥がしやすいのが特徴です。
 この『みちのく』を使った手作り春巻が、農産物・水産物・畜産物の命をいただく事の大切さや、家族の心の絆を結びつける食事の一品となり「お母さんの味」になることを願っています。そして私自身、料理が好きなので全国の旬の食材や、地元食材、そこでしか味わえない物を使って、あまり手を加えないでできる簡単春巻レシピを御提案していきたいと考えています。生産者と消費者が互いに思い合い、心が通じ合える“春巻の皮”になれるよう、三立食品は全身全霊をかけ、これからも取り組んでいきます。

(三立食品 梅村治郎)

 

食感がバツグンに良い春巻の皮
国産小麦と赤穂の天塩のみで製造。 パリッ!とし、サクサクした食感が自慢。
賞味期限: 製造より25日 

   三立食品
  春巻の皮(みちのく)

材料(18cm パイ皿1個分):
春巻きの皮 5枚、ベーコンスライス60g、茹でたほうれん草 80g、バター 10g、塩・胡椒・オリーブ油 各適量
(A) [ 卵黄(水少々で溶く)1個分]
(B) ([ 全てよく混ぜる)卵 2個、
生クリーム 100ml、塩・胡椒 各適量、シュレッドチーズ 60g]
作り方:
ほうれん草は水を絞り3cm に、ベーコンは1cm に切る。
フライパンにバターを入れ、@をよく炒め、軽く塩・胡椒する。
パイ皿にオリーブ油を塗り、春巻きの皮を貼り付け、(A)を刷毛で塗り皮をずらしながら
5回繰り返し、最後にオリーブ油を塗る。
パイ皿からはみ出た皮は、パイ皿から少し出るくらいで内側に折り、内側に(A)を塗る。
フォークで全体に穴を開け、200℃のオーブンで4分空焼きする。
CにAを入れ、(B)を注ぎ入れ、200℃のオーブンで23分くらい焼く。表面に焼き色がつき、
膨らんだ感じになれば出来上がり。
楊枝をさして、何もついてこなければ焼けています。



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