パルシック

(東ティモール・マウベシ)


東ティモール・マウベシの農民と日本を
おいしくつなぐ
「カフェ・ティモール」 

海・島・里からの便り
2015年
『life150号』



 東ティモール民主共和国は南緯5度、太陽と青い海が輝く美しい国だ。「カフェ・ティモール」の産地マウベシは、首都ディリから南に75キロメートル、標高1400メートルまで一気に山を登ったところにある。日中強い日差しに暖められた大地は、日没後気温13度の冷気に包まれ、朝日とともに朝靄が昇っていく光景は幻想的で美しい。
 マウベシのコーヒー農民たちがコーヒーの共同出荷を開始したのは2002年。長いポルトガルの植民地支配と、24年にわたる隣国インドネシアの軍事占領を経て独立を手にした年だ。34世帯で試験的にはじめた活動は2004年に「マウベシコーヒー生産者協同組合(コカマウ(COCAMAU))」に組織され、現在、520世帯が加わっている。私たちパルシックは、高品質のコーヒー生産のための技術支援から開始し、現在は、COCAMAUをはじめとする東ティモールのコーヒー生産者組合が生産する良質のコーヒーを、世界の市場へとつなぐ橋渡しをしたいと考えている。また2011年からは、コーヒー生産者の収入の多様化のために、女性たちと身近に生息するハーブを使ったお茶作りにも取り組んでいる。
 2013年、COCAMAUが生産したコーヒーの品質に対して、長年の消費者から多くのクレームをいただいた。10年を過ぎての気の緩みなのかと、2014年は気を引き締めて品質管理を徹底した。脱肉前の収穫したコーヒーチェリーの状態を日々、山道を駆け回って確認したり、集荷された乾燥豆を計量前にすべて袋から出して確認したり、COCAMAUから買い取った後、船に乗せるまでの過程で温湿度管理やスケジュール管理が問題になっていないかということも検証した。年間収入のほとんどをコーヒーに依存している生産者たちに、品質が基準を満たさないからこの値段では買えないと伝えることは、大変に苦しい。しかし消費者の反応は、どんな言葉よりもCOCAMAUのメンバーたちにとって説得力を持った。2014年のコーヒーが良い状態で日本の港に届き、消費者の皆さんからも良い反応をいただいている、との報告に、COCAMAUのヘンリケ事務局長は喜びと安堵の入り混じった表情で頷いた。
 “顔と顔の見える関係”を大切に、これからも美しいマウベシで育った「カフェ・ティモール」やハーブティー「アロマ・ティモール」を、おいしく皆さんに提供したい。

(パルシック 伊藤淳子)

 


寒暖差が生む、まろやかなコクと適度な酸味

深炒りです。粉は中細挽きタイプ。
パルシック
カフェ・ティモール
 

自生の無農薬レモングラス	COCAMAUの女性たちが丁寧に作っているハーブティーです。農薬・化学肥料は一切不使用。	手摘みしたハーブは手作業で加工します。パルシック	アロマ・ティモールレモングラス

パルシック

 (東京都千代田区)


国境を越えた連帯を目指して


 パルシックは国と国の壁をこえた、市民と市民の協力(= 民際協力)を大事にしています。そして各地の農村・漁村での民際協力の結果できた産品を、人びとの生活改善につながるようにフェアトレード商品として販売しています。 
 「カフェ・ティモール」の産地は東ティモール・マウベシ郡1500mほどの山の中。ここは気温の寒暖の差、太陽の陽をたっぷり浴びられる環境、有機栽培など美味しいコーヒーが作られる条件がそろっています。農村では、コーヒーの実が赤く色づき始めると、子どもも大人も収穫・加工の作業で大忙し。ただし、年に一度の収穫期にしか収入が得られないコーヒーだけでは、満足に3度の食事も食べられない人がたくさんいます。子どもの栄養不足は東ティモールで深刻な問題のひとつです。そこで、パルシックは年間を通して収穫のできるハーブを使ったお茶作りにも取り組んでいます。ハーブを農家の女性たちが丁寧に加工することで、女性が直接収入を得る事ができ、子どもの食事や教育の改善につながっています。
 そうした現地での活動の他、東京にある事務所の一角では「淡路町マルシェ」という小さなお店を運営しています。知り合いの農家さんや友好団体のフェアトレード商品などを置いて、事務所の近所の方々とのお付き合いを深め、私たちの取組みやフェアトレードのことを知っていただく機会になっています。このように、地球の各地に住む人びとの間に連帯を広げていくことが、パルシックの願いです。

(パルシック 東京事務所 ロバーツ圭子)


山名酒造交流会 田植え 稲刈り 仕込み 試飲・ラベルコンテスト

 

 

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