
2016年
『life260号』
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島豆腐の製造
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琉球王朝時代から食文化と健康を育んできた沖縄の豆腐= 島豆腐は、沖縄の食文化を代表する自慢の一品。沖縄では行事料理の重箱には「揚げ豆腐」、日常の食卓には「ゆし豆腐」や「チャンプルー」と豆腐料理がずらりと並びます。今もその摂取量は他県より多く、全国平均の約2 倍です。沖縄の島豆腐は、他県の豆腐とは製法も使い方も少し違います。豆腐一丁の重さが1kg、どっしりと重く、濃厚な味わいが特徴。また、製造工程の最後に水で冷やさず、出来立てのアツアツをいただくことが定番です。
私たち永吉豆腐は、創業者である母の「多くの方においしい豆腐を知ってもらいたい」という想いから、那覇市首里繁多川で創業しました。繁多川地区には5 つの泉があり、湧き水が豊富な為、豆腐作りが盛んになったと言われています。戦後54 店舗が並び「豆腐の里」と呼ばれた地域で、現在は3 店舗まで減ってしまいましたが、その豆腐は地元民に愛され、地元の食を支えています。
私たちは九州産の大豆を使い、防腐剤・消泡剤を使用せずに豆腐を作っています。沖縄では戦前から“豆腐は自分の家で作るもの" という習慣があり、地大豆を家庭菜園で育てている家も多かったのです。その流れから「とにかく体にいいモノを作る」と創業者の母の商品に対するこだわり、意思が今も引き継がれています。九州産の大豆にこだわる理由は、九州地区の大豆が美味しいというだけでなく、安易に輸入大豆に頼るのではなく、なるべく国産・地元のモノを使いたいとの職人たちのこだわりがあります。
また伝統的な作り方だけでなく、私たち独自の無撹拌製法と、職人の技を反映させるためのステンレス製の鍋を使用するなどの工夫をしています。それにより、焦げつかないようにして島豆腐特有の香りを抑え、なめらかな大豆本来の味を楽しむことができます。また、島豆腐は豆腐だけでなく出汁(大豆の油分)にも美味しさがあり、程よい塩味とさっぱりとした味わいも特徴の一つです。特にゆしどうふの汁は“くんす”と呼ばれ、コクのある味わいを楽しむことができます。
最近は、沖縄でも食の欧米化によって若い世代が豆腐を購入する機会が減りつつあります。私たちとしては、若年層にもっと親しみを持ってもらえるよう、形にとらわれない豆腐の美味しさを追求しています。県外の皆さまには、少
し塩味があったり堅く感じる島豆腐ですが、今後もゆっくりと、そのよさと美味しさ、沖縄の食文化を伝えていきたいと思います。
(永吉豆腐加工所 永吉 盛祐)
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海水を使った沖縄の島豆腐。固く、型くずれしにくいのでチャンプルーや豆腐ステーキなどに最適。 |
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島豆腐を固めずにそのままパック
しました。塩味が効いているの
で、温めてそのままいただけます。 |
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