他にはない、サクラマスの
「へしこ」に挑戦! 


丸友しまか

(岩手県宮古市)

 




海・島・里からの便り
2015年
『life340号』

 今回ご紹介する「桜鱒へしこ」は他に類を見ない商品です。日本全国どこを探しても、製造を行っているのは、私たちが加入している宮古水産物商業協同組合だけです。


旬のサクラマスの美味しさを
塩と糠で閉じこめます

 ことの発端は、震災後に上記の私たちの組合と東京海洋大学とご縁ができて、組合員向けにセミナーを行っていただいたことでした。そのセミナーの内容は、1つが「オキアミの練り製品」について、もうひとつが「さばのへしこ(糠漬け)と宇宙食」についてでした。このセミナーを聞いて、上記組合の組合長でもある当社社長が、この2つをぜひ宮古でやりたいと、プロジェクトチームが組まれて商品化に向けた活動が始まりました。
 「へしこ」とは、元々福井県若狭地方に伝わる伝統食。塩漬けしたサバなどを更に糠に漬け込み、熟成させて作る発酵保存食で、積雪と荒波で閉ざされる冬にこの地域で貴重な蛋白源として食されてきたのだそうです。私たちは、セミナーを受けるまで、へしこの名前も知りませんでしたが、発酵させて保存する知恵に感銘を受けました。“どうせやるなら、他には無い魚種で作ろう”と、通常は加工用に使われることが少ないサクラマスを使ってみようということになりました。まず、宮古で獲れたサクラマスを講師をしてもらった福井県立若狭高校の小坂先生に送って、先生と海洋科学科の生徒さんたちで「桜鱒へしこ」を試作製造してもらいました。塩漬けの塩分濃度や期間、糠漬けの漬け込み方などいろいろ試してもらって出来上がった試作品は、上々の出来だとの評価をいただきました。


若狭高校の皆さんと行った
糠漬け作業

 この試作を受けて昨年5月末に、若狭高校の生徒さんたちに宮古に来てもらい、一緒に「桜鱒へしこ」の糠漬け作業を行いました。漬け込み後は、定期的に状況を報告し、必要に応じて糠に手を加えながら進めました。また、私たちも福井県小浜市に出向き、地元のへしこ製造の加工場の見学や話し合いなどを行い、“へしこ文化”を学び、へしこに関する見聞を広げてきました。
 さまざまな事やたくさんの人の関わりを経て、ようやく形になった「桜鱒へしこ」。宮古水産物商業協同組合と福井県立若狭高等学校海洋科学科の生徒の想いが詰まった商品に仕上げることができました。お茶漬けやパスタの具材に、薄くスライスした大根に挟んで、など食べ方はいろいろ。サクラマスの上品な味わいはそのままに、へしこならではの発酵の味わいをお楽しみください。

(丸友しまか 島香友一)

 

上品で、まろやかな味わい
福井の伝統食である「へしこ」
を三陸のサクラマスで作りま
した。全国でも、ここだけにし
かない味わい。
丸友しまか
三陸の桜鱒へしこ


「今季は身入りがいいっけぇ」
ご飯にかけてわさび醤油で! 


丸友しまか

(岩手県宮古市)

 




海・島・里からの便り
2015年
『life290号』

 宮古の初夏の風物詩でもある「瓶詰の生ウニ」。世間一般的には、ウニと言えば“板ウニ”だと思いますが、宮古界隈でウニと言えば牛乳瓶に入った生ウニが当たり前なのです。私自身、関東近郊でサラリーマンをしていた時に、“板ウニ”を見た時のカルチャーショックは今でも忘れられません。


箱メガネで水中のウニを探します

 宮古周辺では、3月下旬くらいから「瓶詰めの生ウニ」が市場に出回り始めます。ウニ漁については各漁協毎に解禁日(口開け)が決まっております。各漁協が天候等を考慮して、口開けするか止めるかを判断し、ランプの色で開けるか開けないかを示すのです。但し、口開け直後の出始めの頃の生ウニは、ウニ本来の味よりもちょっと遠い。というか、未成熟な感じがします。やはり、生ウニにも時季がありますので、私たちは始めの頃のものは仕入れず、成長し旨味が詰まったウニを扱うために5月下旬から7月いっぱいまでを取扱期間として決めています。


一日にカゴひとつ分だけ
水揚げされるウニ

 各漁業者は小型船(さっぱ船)に乗り、各自のポイントで漁を行います。主に箱メガネを使い、長〜いたも状の棒で殻付ウニを獲り、自分の船に水揚げします。ウニ漁には時間と水揚げ量に制限があり、時間に関しては各漁協によって多少のバラつきはありますが、約3時間程度でカゴひとつ分の水揚げ量と決められています。水揚げ後は、各漁業者自身がむき身作業を行い、それぞれの漁協でウニ加工業者によって入札され、加工業者が選別、瓶詰め(あるいは焼きウニ、塩ウニなどに加工)され、世の中へと出ていきます。私たちがお届けする生ウニも、長年のお付き合いで信頼を寄せている加工業者に瓶詰め加工をしてもらっています。
 さて今季のウニですが、先日、漁業者の方とお話をする機会があり、「今季は身入りがいいっけぇ」とのことです。5月時点での話ですから、今季の生ウニは好調だと言って良いと思います。食べる際には、生ウニをざるに開け、水道水で弱めにさっと流した後水切りをしてどうぞ。器に盛り付け、適量をご飯にかけ、わさび醤油でかきこんでいただきたい。本音を言えば、ご飯が隠れる位にかけて召し上がっていただきたいっ! この時季にしかない、三陸の初夏の味をご堪能くださいませ。

(丸友しまか 島香友一)

 

濃厚な生ウニを丼でどうぞ
三陸宮古産の大粒のキタムラサキウニ。
ミョウバンなどの保存料等不使用です。
※無薬品処理なので、
早めにお召し上がりください。
丸友しまか
三陸の生うに  大・小

三陸の春の訪れは
サクラマス&時鮭とともに 


丸友しまか

(岩手県宮古市)

 




海・島・里からの便り
2015年
『life220号』

 5月の宮古はようやく桜が咲き始めるころですが、今年はどうなるでしょう?
 この時季、魚市場を賑わすのは定置網などで漁獲されるサクラマスと時鮭です。この2種が水揚げされると、ようやく“春”になったことを実感します。
 サクラマスは、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ヤマメが海に下ったものです(というか、サクラマスが氷河期に降海できなくなったものがヤマメです)。名前の由来には諸説あるようですが、“桜の咲くころに水揚げされるから”とか“婚姻色が明るい桜色になるから”などあるようです。ヤマメと比較すると大きく育つので、脂肪量は倍近い値になります。そのため、秋鮭などと比べても脂肪分を多く感じます。しかし、この脂肪分は、養殖魚と比べると天然魚ならではの“淡い脂”でさっぱりとしています。なお、同じサクラマスでも、沖合で獲れたものと河口付近で獲れたものとでは脂のりが違うようで、どちらかといえば、河口付近のものの方が脂ののりが良いように感じます。
 食べ方は、やはりシンプルに“塩焼”が一番でしょうね。サクラマス独特の脂肪分を感じることができます。ただ焼き過ぎると、パサパサになるのでご注意ください。意外と知られていないけど、オススメはフライです。このサクラマスのフライは、かつて祖母が息子(私の父)のためによく作っていたようです。ぜひ、お試しください。
 もう一つ、この時季の水揚げで忘れていけないのが時鮭です。一般的に秋に遡上してくる秋鮭と同じ“しろさけ”に分類されますが、いったん春から初夏にかけて沿岸に回遊してくるものが定置網にかかるのです。これも名前の由来に諸説ありますが、一般的には“時を間違えて遡上してくる”ことから“時しらず”と呼ばれているようです。秋に水揚げされる秋鮭と違って、成長過程の途中の段階であることから、身に栄養素や脂肪分が凝縮されていて旨いとされます。かつては定置網だけでなく、シーズンには宮古から北海道に向けて延縄で漁に出かけたようですが、震災の影響かそれもなくなり、もともと多くなかった水揚げ量が更に減り、ここ1〜2年は定置網でもあまり獲れなくて希少になってしまいました。
 この時鮭、サクラマスと同様にシンプルに“塩焼”で食べることをオススメします。秋鮭とも違い、脂はのっているのにくどくない風味を感じることができます。また、豪華にムニエルやホイル焼きなんかで食べるのもいいでしょう。時鮭もサクラマスもこの時季にしか水揚げが無い魚です。ぜひ、三陸の春の訪れをご賞味ください。

(丸友しまか 島香友一)
 

丸友しまか
鮮魚・三陸のサクラマス切身
三陸、宮古産のサクラマスを新鮮な状態で切り身にしました。旬を味わえます。

春を告げる“サクラマス”と“時鮭”。塩焼でどうぞ
丸友しまか
三陸時鮭切身
春から初夏にかけて獲れるので「時しらず」と呼ばれます。脂乗りが良く、塩を振って中火で塩焼きにすると美味。


丸友しまか

(岩手県宮古市)


今年は少し成育遅れ。
宮古湾のかきシーズンがスタート


2015年
『life30号』

 





 「10月中旬になって、卵がようやく抜けた。」宮古湾かき養殖組合の組合長、飛鳥方さんからこの知らせを聞いたのは、11月5日でした。話を聞いていくと、“卵が抜ける”のが遅くなったのは、今夏の暑さの影響があるのではないかと推測している様子でした。“卵が抜ける”とは放卵すること。かきは放卵すると、一度は身が痩せます。それから一定期間が過ぎると、次の卵に備えて、海中でたくさん呼吸をして養分を蓄えていきます。その行動を繰り返していくことで、かきは成長していくのです。ちなみに、かきは一日にドラム缶1本分の海水を吸っては吐き出しています。
 今季の真がきは、放卵の遅れという事情を踏まえて、私たちは取扱いを年明けの1月に遅らせました。より良い状態のかきを皆さんにお届けすることを第一に考えての選択。現在(2014年11月時点)の身入りの悪い状態から、この2か月間でどれだけ成長するか? 私たちからすると、楽しみでもありつつ、不安でもあります。
 思い返してみると、今夏は台風の通過はあったものの、大荒れにならず養殖施設への被害もありませんでした。ちなみに、昨年は台風の影響で大打撃を受け、養殖しているかきの半分が海中へと沈んでしまいました。そのため、生産量が減った生産者もいました。この点では、多少の成育の遅れぐらいなので、今季のかき養殖は恵まれた環境にあったのだろうと思います。
 宮古湾かき養殖組合の各生産者が想いを込めた真がき。いよいよシーズンスタートです。   

( 丸友しまか 島香友一)



栄養豊富な宮古湾のカキです。加熱調理してカキ本来の味を楽しんでください。

丸友しまか
三陸の生かき・加熱用

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