稚内西方沖には、最北の離島、利尻島と礼文島があります。南側が利尻島、北側が礼文島で、利尻島は標高1700mを超える急峻な高峰であるのに対し、礼文島は穏やかな丘陵のような地形です。そのため礼文島は北方圏の高山植物が身近に見られ、花の浮島とも呼ばれております。この両島の近海は、たいへん豊かな水産物の宝庫です。その理由は、日本海を北上する暖流の対馬海流とサハリンを南下する寒流のリマン海流がぶつかり合うことで発生するプランクトンが、豊富な食物連鎖を生み出しているからです。
赤がれいは山陰地方からサハリン海域、ロシア沿海州、オホーツク海まで広く棲息しており、私たちにもおなじみの魚ですが、日本海北部のこの豊かな漁場で獲れる赤がれいはやはり美味い! かれい特有の臭みがなく、上品な白身は刺身にしてもヒラメに引けを取りません。むしろ上回るほど。昆布じめにすると最高です。小型のものは、よく干物にして食べますが、寒風で干し上げたものは旨味が凝縮して美味しいです。そして冬になると子持ちになって、身も真白く身厚で弾力を持ち、脂も乗ってますます美味しくなります。この子持ちは何と言っても煮付けがオススメ。煮付けることで卵や身にも味が染み、絶品の卵と白身の上品な美味しさ、両方を楽しむことができます。
ところが子持ちの時期は、競りの値段もぐっと上がり、なかなかお目にかかれません。というのは、漁期の12〜2月は時化(シケ)が多く、1ヵ月のうち4〜5回も漁に出られれば多い方だから。そうしたこともあって、稚内でかつて20船ぐらいいた底曳き船も今や6船のみになってしまいました。
今回は、数少ない水揚げがあった時に、その日のうちに切り身にして急速
冷凍しました。最北の冬の味覚をご賞味ください。
(丸共水産 宮本 宜之)
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稚内沖で獲れた子持ち赤がれいの切身。
煮付けに最適です。 |
丸共水産
子持ち赤がれい切身 |
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