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こ く ら |
(鳥取県境港市)
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境港ではアジは通年たくさん獲れる魚で、昨年の漁獲量は約3万4千トンで境港全体の漁獲量の約3割を占め、魚種別でトップでした。“鯵”の文字は“参”が旧暦の3月で太陽暦の5月にあたり、この頃が真アジの旬ということからきている事や味が良いからアジになったとか言われています。特に旬の5月頃の時期は、まぐろのトロにも匹敵すると言われていて、脂質含有量が10%を超えることもあります(一般のアジは約7%)。とりわけ、山陰沖で漁獲される真アジは、この海域に生息する脂質に富んだプランクトンや豊かな甲殻類が餌となるので、脂のりが良く美味しいといわれています。
境港ではアジのサイズの大きさで呼び名分けがあり、小さい順から「極小ヒ」「タネ」「カボ」「スーパー」「小ヒ」「中ヒ」「大ヒ」と分けられます。「ヒ」とはアジの記号です。ちなみに「ツ」はイワシ、「メ」はサバとなっています。なぜそうなのかは、昔電話などの通信網が無い時代に境港の漁の情報を発信する際、モールス信号で送っていた時の記号がそうなったものだそうです。
今回は、「スーパー」「小ヒ」サイズのアジを旬が満喫できる鮮魚で、「タネ」「カボ」サイズのものは、刺身用フィーレにする際にどうしても出てしまう破れや端切れなどを身が潰れないように粗めにカットした「もったいないアジミンチ」で、また頭とお腹を取って処理した「骨まで柔らかアジフライ」としてお届けします。私たちとしては、境港で水揚げされる大小様々なサイズの魚を、できるだけ余すことなく美味しく加工してお届けしたいと思っています。ぜひアジの美味しさをいろいろな形で楽しんでみてください。
( 小倉水産食品 小倉雅司)
穫れたて! 旬のアジ |
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つみれやハンバーグに | カルシウムたっぷり | ||||
製造工程で出た端切れをミンチにしました。加熱してからお召し上がりください。 | 夕食にもお弁当にも使えます。骨ごとどうぞ。未揚げなので、揚げてください。 | ||||
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小倉水産(鳥取県境港市) 今年の塩いわしは、うるめいわしでお届けします |
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昔から節分にはいわしを食べるという習慣があります。これは、鬼の嫌いな物が「いわしの頭」と「棘のある柊(ひいらぎ)の葉っぱ」だからで、焼いたいわしの頭を柊の枝に刺し、家の玄関に置いて邪気を追い払ったとされています。
現在、境港はカニ水揚げ日本一の港として知られていますが、かつてはこのいわしとともに栄え、発展した町でした。いわしは鮮魚や塩漬け、煮干しとして加工される他、肥料として余すことなく利用されてきました。江戸時代中期から明治時代にかけては、いわしの肥料と境港のある弓ヶ浜海岸の砂地を利用して、綿花栽培と絣織物が一大産業となっていたのだそうです。最近でも、20年ほど前には5年連続で全国漁獲高1位(40〜50万トン)となるほど、いわしは大量に獲れていました。
ところがその後、境港のいわし漁は激減。春先や秋口頃のシーズンに多少獲れる程度になってしまいました。 2013年は4万トン近く漁獲がありましたが、それはたまたまの豊漁だったようです。2014年は春にほんの少し獲れただけで、秋はほとんど漁獲量ゼロという記録的な不漁の年になりました。
やはり、海水温も含めて海の状況がおかしくなっているのでしょう。昨年11月には北海道沖で真いわしが大量に打ち揚げられたというニュースもありました。いわしの群れが北海道まで上がってしまって、本来居るべき境港には寄りつかなくなっているのです。
毎年、私たちは秋〜冬に獲れる真いわしを使って塩いわしを作っていますが、今年はどうしようかと悩みました。いわしの町=境港として何とかしたいという思いと、現在うるめいわしが少しだけ獲れているという事情もあり、今年はうるめいわしで製造する事にしました。真いわしと較べると少しスリムであっさり味ですが、節分を通じて海の変化も感じていただければと思います。
(小倉水産 小倉 雅司/12月15日記)
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